孤独の原因は
『ミラーニューロンの彼方へ~支配からの解放』大嶋 信頼 著 帯には、半自伝、天才カウンセラーの秘密を公開!とある。 大嶋氏のことは、『催眠ガール』という小説で知った。無意識について、分かりやすく、かつ面白く紹介してくださる。 彼は、エリクソンの流れを汲む現代催眠の師匠から催眠療法を学んだが、現在は独自の療法で多くの症例を治療している。 私が習っているのは伝統催眠であり、手法は大幅に違うのだが、とても参考になるので、大嶋氏の本は楽しく読んでいる。彼の本の中に出てくる、スクリプトの美しさは格別である。読んでいるだけで催眠に入ると、セラピスト仲間の間でも評判だ。 さて、冒頭の本を偶然本屋で見つけ、嬉しくてスキップしそうになりながら帰宅した。大嶋氏のアメリカ留学時代の気付きが興味深く、日本とアメリカの潜在意識の違いなど、驚かされた。 その中で、特に大きな気付きだなあと感じたのは、恐れと嫉妬の関係である。 「相手の話を聞く前に、「わからない」と頭の中で一言唱えてから相手の話に耳を傾けてみると相手の本音が聞けるようになるというおもしろい体験をしていたら 「なんだ!白人に生まれ変わったって孤独は変わらないぞ!」ということを発見してしまった。 いや、日本にいた時よりももっと強烈な孤独。(中略)まるで、天体望遠鏡で土星を見た時に真っ暗闇にポツンと星が浮かんでいる、あれを見た時の恐ろしい感じ。」88~89頁 「大嶋さんの中にあった恐れというものがみんなの嫉妬心を誘発するものであった」 「日本は地震、津波や台風、そして火事などが多いため、災害に対する恐れがベースにあると考えられる。そのため、ありとあらゆるものを神として祀る八百万の神というのがあって、神を畏れるという文化があったのかもしれない。(中略)この恐れというものが、リスペクトの正体なのでは?と私は考える。」 「私の中でリスペクトは美しいと思っていたのに、それが恐怖から生まれているという仮説が立てられ、その恐怖でみんなの嫉妬を誘発していた、という衝撃的な事実を目の前に突き立てられたから。」 「ビスマルクの「神を怖れよ、そして、他のどの人間も怖れるな」という言葉が浮かんできた。 なるほど、その精神があれば人に対するリスペクトは必要なくなるな、と思いながらも、自分がこれまでしがみついていたリスペクトはもっと美しいものになるような予感が