依存の鎖を解く

 催眠療法セッションをさせていただく機会があるのだが、

最初に、事前面談をし、クライアントの課題を互いに共有した後、催眠について、説明をするプリトークがある。

先日のヒプノセラピートレーニングという勉強会で、講師から「プリトークは、絶えず書き直して、更新していきなさい。」とアドバイスされた。

その後、お一人セッションをさせていただく日の朝、スルスル言葉が降りてきたので、それをプリトークに仕立てたところ、そのクライアントオリジナルの、その日向き合うべき内容となっていた。

直感を使えば、つまり、私が透明な筒に徹し、そのクライアントに今必要な言葉を下さいと意図すれば、宇宙から降りてくるらしい。ここに、私の思考(エゴ)を働かせれば、まったく役に立たない言葉の羅列になるだろうから、心して透明になるしかない。

100により近づけた純度になるよう、その日は食事を採らず、何度か入浴し、潔斎を繰り返す。セッション直前には、我が家の神聖な場所に手を合わせ、「○○さんに、必要な気付きがもたらされますように。私がそのお役に立てますように。どうか、私をお使いください。」と祈る。セッション中は、思考の出る幕がないほど、ひたすら集中する。いまにあり続ける。ただ、透明な筒になる。一切の評価を捨てる。

さて、来週に次なるセッションを控え、どんなオリジナルプリトークになるかなあと、ぼんやり考えていたら「依存の鎖を解く」というテーマが目の前にもたらされた。

実際に、クライアントとは面談してみなければ、その日に取り組む課題はよく分からないので、用意したプリトークが必要なのかどうか、もしかしたらボツになるかもしれないが、書き留めておこう。

以下は、催眠について説明するプリトークだ。

「○○さん、今、気分はいかがですか。

安心したリラックスした感じがしますか。

少し、不安や怖さがありますか。

では、思考が○○さんを過去や未来に振り回さないように、いまに戻りましょう。

深呼吸して。耳を澄ませて、音に集中して。座っている足の感覚を感じて。左右前後、見えるものに集中して。最後に何もない空間に集中して、感じてみてください。

思考のおしゃべりは、静かになりましたか。

では、心の中の奥のお部屋をイメージして。カーテンがめくれて、ほんとうの○○さんが、顔を出しました。思考が静まったので、あなたは、ほんとうの○○さんの声がよく聞こえます。表情も見えるかもしれませんね。どうですか。

では、ほんとうの○○さんの意識に入りますよ。よろしいですか。1、2、3はい。す～っ。

今、ほんとうの○○さんの意識です。どんな感じがしますか。

では、その意識状態でしばらく、私の話を聞いてみてくださいね。ありがとうございます。

ほんとうの○○さん、私はあなたをどのようなお名前で、今日はお呼びしたらよいですか。

△△さんですね。ありがとうございます。

△△さんは、現実を通して学んでいる○○さんを、いつも見守ってきました。苦しい時には応援したり、時には共に涙したり、そんなこともありましたか。

△△さんは、どちらかと言うと、俯瞰するような斜め上くらいの位置から○○さんを見ていたのではないですか。どんな感じで見ていましたか。

では、その位置から○○さんを見守りつつ、聞いていてくださいね。

○○さんは、催眠療法を通して、玉ねぎの皮を一枚一枚剥がしてきました。○○さんにとっての玉ねぎの皮とは何の象徴ですか。また、玉ねぎの真ん中には何が隠されていると思いますか。

○○さんとの面談を通して、私は、一連のステップをイメージさせていただきました。過去の様々な療法を含め、概ね次のように進んできてはいませんか。この後、一つ一つ確認させていただきますが、先にザッと説明しますね。

1、思い通りにならないという怒りに気づく(表面的な感情)

2、怒りの裏に隠れた感情に気づく(本当の感情)

3、感情の吐き出し

4、過去のとらえ直し。思い込みを解く。隠れた愛の気付き

5、謝罪、懺悔(自分にも、相手にも)、浄化

6、感謝

7、許しと癒し

この1～7のステップを一通り踏んでいらっしゃると感じましたが、おそらく、もっと深めたいステップが残されているのかもしれません。一つ一つお聞きしていきますので、俯瞰する△△さんの意識のまま、どう思われるか簡単でかまいませんので教えていただけますか。

ありがとうございます。

また、このステップをすべて、しっかり踏んだ先には、○○さんを縛っていた鎖のようなもの、または、錘のようなもの、抜け出せなかった循環のようなものが綺麗に消えていくのですが、その正体は何でしょう。

ちょっとだけ、イメージしていきましょうか。こんな感じかも？というレベルで大丈夫です。

今まで、見て見ぬ振りをしてきたものの正体と言えるかもしれませんね。エゴを使い、直視を避けてきた恐れの正体なのかもしれません。

もし、思考が現実をつくると仮定するならば、そうなることで、エゴが得をする。○○さんのエゴ(恐怖心)の望み通りに現実が出来上がっていたとしたら。

イメージでかまいません。もし、○○さんが、無意識にしがみついているもの。もしかしたら依存しているものがあるとしたら、何だと思いますか。それは、手放すと怖いものかもしれませんね。

△△さんなら、分かっていらっしゃるかもしれませんね。それとも、今日は触れないでおきますか。ゆっくり進めばよいので、△△さんのお考えにおまかせしますね。

催眠療法の面白雑学を一つご紹介します。家族には家族の課題があると、自分の人生を俯瞰することで気づかされることがあります。自分には自分の課題があり、父には父の。母には母の。夫には夫の。それらがリンクしながら家族というコミュニティで修行させられる。催眠療法を重ねていくと、それが人間界の学びなのかもしれないと思わされます。思考は波でできているため、伝染しますから、課題に向き合うことで、家族も課題が浮き彫りになります。そうなると、一見、もめ事も増えますが、魂はちゃんと進化していく。自分自身の人生を生きるために、皆、もがきながら一生懸命生きている。そんなことを思わされます。催眠療法って、奥深いですよね。

本日は『   』という課題に取り組む予定ですが、もしかしたら、過去の傷を覆う瘡蓋をはがすことになり、○○さんは、心配しているのかもしれません。△△さん、アドバイスをいただけますか。

ありがとうございます。本日のセッションを通して、今日、○○さんにとって必要な気付きがもたらされ、終了後は、「   」という心境になっていますように、△△さん、傍で見守っていてくださいね。そして、愛の光を注ぎ続けてくださいね。そうすれば、○○さんは、安心して、痛みを感じることなく、伸び伸びと課題に取り組むことが出来ると思います。よろしくお願いいたします。

△△さん、いろいろ教えていただき、ありがとうございました。では、三つ数えると現実の○○さんに戻ります。よろしいですか。3、2、1 はい。す～っ。」