見えないものを見る

 入院7日目

朝、だんだん明るくなっていく空をぼんやり眺めていた。

スマホの画像では、色彩の美しさが伝わらず残念なのだが、優しいピンク色と水色のグラデーションが、刻々と変化していく様は、溜め息の連続だった。Chie artさんの光の作品を彷彿とさせた。

その時、ふと、気づきがもたらされた。

「反対側も美しい」ということ。

我が家は、東南向きに窓がある。冬の時期は、やや正面から朝陽が昇る。とても美しいので、よく撮影をしている。

私は、無意識にだが、こう感じていたと思う。

明け方の時間帯は、東の空の方が見ごたえがある。美しい。価値がある。

だから、明け方の空の西側を見ようとしたことは無い。きっと地味だろうし、わざわざ見る必要もないと思い込んでいた。

今、私が過ごしている病室の窓は、北西を向いている。夕日は、斜め左に沈む。

つまり、日頃じっくり西側の空を眺めた経験が無い。この一週間は空観察として、なかなか貴重な体験をさせてもらえていた。

今朝、沸き上がってくる感動と共に、気がついたのだ。

明け方の空は、ついつい輝きを増す東側に注目してしまうけれど、反対の西側の空も、すごく美しいのだなあと。

私は、見えていなかった。思い込みから、見ようとしていなかった。自ら制限の檻に入っていたのだ。

自然に心を開くと、いろんなことを気づかせてくれる。自然は偉大な教師だ。

目に見えたことだけを判断材料にするのではなく、

反対側はどうなっているのかな?

上や下は?

隠されている部分は?

私が五感を使っても感じ取れないものは、なにかな?

そんな風に、対象を捉えるように心がけてみたいと思った。

これは、人間関係にも応用できる。

この人のこんなところが嫌い!という感情はよくある話だ。

嫌いなものは嫌いだし、それでいいのだが、一つ嫌いだからと、すべてを否定するのはもったいない。相手の見えない部分を感じようとしてみると、日の出の反対側の空のように、目立たないけど、繊細な美しさを発見するかもしれない。

「本当の愛とはやさしくして甘やかすことではありません。真の愛は愛情にあふれ、しかも断固としています。そして、力強く手を差しのべ、いつでも相手を助ける用意のあることです。愛とは、同情して相手の低い自我をなぐさめてやることではありません。そうすればその人の力を弱め、破滅させるだけだからです。神の愛は、一人ひとりの魂の最も良い所だけを見ているのです。」171頁

「人の人生には様々な要素がありますが、その最も大きなものは自由意志です。最後の選択権は一人ひとりの手にあり、非常に注意深く作られた計画をだめにしてしまうこともあります。」

「私は完全な道を見ることができます。そして、やさしく愛をこめて人にそれを示してゆきます。突然、その人は自分の方が良く知っていると思い込み、私の計画に背を向けます。私は退いて、その人がどんどんひどい状態になってゆくのを見ています。彼が自分の自由意志で、私の意志を行うと決心するまでは、私には何もできません。最後の選択はその人の手にあるのです。」

「愛する子よ。あなたにできることは、自分はできる限りのことをして、もうできることはないということを、全身全霊で知ることだけです。その人が他の道を選んだとしても、残念に思ってはいけません。」

「愛する子よ、あなたは多くの人々に接するようになります。一人ひとりみな違うとはいえ、学ばねばならない基本原理はあるのです。」

172頁

『フィンドホーンの花』アイリーン·キャデイ

山川紘矢  亜希子 訳

日本教文社


全身全霊で知る。

『青い花』のあの一節も、

こういうことを伝えてくれていたのかな。

深いなあ。



☆Star Walk 2

Yさんに教えてもらった星空アプリ

何と!地面にスマホを向けると、地球の裏側の星空が見える!

空は、私の頭上にのみ広がっていたわけではないのだ。

ぐるっと360度

私は星に囲まれていた。

冷静に考えると、確かにそうなのだが。

地球の裏側の空について、思いを馳せることは、私の意識を大幅に拡大してくれた。

太陽は、地平に沈んでも

反対側を照らしている。

昼間の空にも星座は輝いている。

富士山に雲がかかって、見えなくても、そこに富士山は立っている。

ぐんぐん意識を広げていくと

私の内部の広大無辺な宇宙まで、探索できそうだ。

入院中に、3つの投稿をしたが

全部繋がっているように感じる。

ようやく、檻から出られたようだ。

自分で創った檻だったんだなあ。

それにしても、この3ヶ月、見事な伏線だらけだった。

気づきは、ふとした瞬間に訪れる。

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