127年の空白

 3月9日に△県〇〇〇町の、先祖のルーツが同じだと思われる人物に宛てて手紙を出した。

今まで調査した結果を簡単にまとめ、もし先祖の墓が分かればお墓参りに行きたい旨をしたためた。返信用封筒に切手を貼り同封もしておいた。

3月13日、先方よりメールが届いた。(メルアドも書いておいたので)

奥様からであり、「今日、お手紙が届きました。先祖のルーツを知りたいというお気持ちはよく分かります。お電話でお話できませんか?」とのこと。その後電話をくださって、10分ほどお話をすることができた。

サバサバした感じの、気持ちのよい奥様だった。無駄なことは話さず、必要なことをポンポンと答えてくださった。


・夫は、重度障害になり、話すことが出来ないため妻である自分が電話をしている。

・普通の家では、先祖のことはよくわからないはず。この手紙をもらい、調べるのに少し時間がかかった。

・たまたま、先日手続きの関係で戸籍関係を見ていたので調べることが出来た。血縁の中に(私の曾祖父の名)はいなかった。

・〇〇〇町に同じ姓の家が3件ある。遡れば先祖は同じだと思う。

・自分の家系は夫が5代目であり、新しい方。本家というわけではないが、もう一件の方が家系が長いのでそちらに連絡をしてみてはどうか。(親切にも、名前を教えてくださった)

・家紋と手次寺は(私の高祖父と)同じ。

・一族の墓は〇〇〇町内にある。

・もし墓参りに来ることがあれば、知らせてほしい。我が家に寄ってもらえれば、お茶くらい出す。


ということだった。後は、「私の単なる好奇心ですが。」と断られた上で

・どうやって△県〇〇〇町のことが分かったのか(戸籍が取れるのか?)

・あなたは昼間家にいるけど、仕事は何をしているのか?


ということを質問されたので、丁寧に答えた。

やはり、少々怪しい感じはぬぐえなかったのだろう。確かに家系のことを他人が知っていたら気持ち悪いだろう。また、昼間家にいるような人物は、まともではないかも?と心配になったのもよく分かる。

私は図書館で働いていて、昼間だったり夜勤務だったりするのだと説明した。司書かどうか聞かれたので、そうです。と答えた。ほんの少し安心してくれたようだった。

ちなみに戸籍は直系ならいくらでも遡って取得できるが、傍系になると勝手には取得できないようになっているので安心してほしい。

私は奥様にちゃんと安心してもらいたかったので自分の思いを伝えておくことにした。

私「父が最近亡くなりまして、戸籍謄本を取る機会がありました。今まで先祖のことなんてまったく興味が無かったのですが、戸籍を見たところ、いろんなことが分かってきました。4月は、もし父が生きていれば90歳の誕生日を迎えられたはずでした。父の誕生日プレゼントに、曾祖父の伝記のようなものを作って贈ろうと思っています。きっと父も先祖のことを知りたかったと思うのです。私の勝手な思いですが。4月までにどこまで調べられるか分かりませんが。いずれ〇〇〇町の曾祖父ゆかりの地も巡ってみようと思っています。おそらくルーツは同じだと思うので、墓参りにも行きたいと思っています。」

奥様「いいじゃない!」

電話ごしに伝わってくる奥様の力強い共感に、胸のあたりがあたたかくなった。

〇〇〇町を訪問する際はまた連絡すると告げ、電話を切った。

なんだか不思議な展開に、ぼ~っとしてしまった。

曾祖父の名前や出身地名を知ったのはわずか一か月前である。そこから面白いように展開していき、今日はルーツが同じ(と思われる)家の方と直接お話をすることが叶った。これって、すごい展開ではないだろうか?

家系図づくりの本に親戚アンケ―トの出し方が載っていたので、今回はそれを真似して手紙を出してみたのだが、本に書いてあった例では、10件出しても1件返事があるかどうかということだった。

たまたま、親切な奥様に手紙が渡ったため、このようにわざわざお電話までくださったのだが、これは幸運なケースだ。

奥様もちらっとおっしゃっていたが、まず、自分の祖先(5代6代前)の名前を記憶している人などいないだろうし、調べるにしても時間がかかる。面倒なことに巻き込まれたくないと、無視されてしまっても仕方ない。(本家で、仏壇があり、家に代々を記録した過去帳でもあれば、別かもしれないが)

そもそも、127年前に村を出ていった人のことを今さら質問されたって、戸惑うだけである。

たまたまラッキーだったのは、私がお手紙を差し上げた人物(奥様の夫)の職業が労務士であり、戸籍関係について理解していただきやすかった点だろう。一般の人は、よほどのことが無い限り戸籍も見ないし、何代も前の親戚のことなど、赤の他人に等しいだろう。

なので、奥様に教えていただいた某人物に手紙を送っても、返事をいただけるかどうかわからない。かえって、嫌な気持ちにさせてしまったらと思うと、今から既に申し訳ない気持ちになる。しかし、これもご縁なので、勇気を出して手紙を送ってみようと思う。

あちらの世界にいらっしゃる私のご先祖様たちは、子孫が127年の空白を経てつながろうとしているのをどのように見てくれているだろうか。

面白いことになったな~と、笑ってくれていたらいいなと思う。


☆除籍謄本が3種類も!?

さて、並行して△県〇〇〇村の明治30年より古い戸籍を役所に郵送依頼を出していたのだが、昨日、役所から電話がきた。あまりに古い戸籍なので、発行不可というお知らせかな?と思ったのだが、何と、「お出しできる戸籍が3種類ありましたので、追加の定額小為替を送ってほしい」とのこと。予想外の嬉しい連絡だった。すぐさま郵便局に飛んで行き、速達で送った。

いったい、次はどんな事実が判明するのだろう?楽しみだ。

何度も言うが、家系図づくりは、『明治19年式戸籍』が取得できるかどうかが明暗を分ける。江戸時代の先祖の名を知りたければ、そしてその情報を自分だけでなく、後世に残したいのなら、今すぐ動いたほうがいい。除籍謄本には保存期限があり、日々貴重な文書が廃棄されている。(以前の法律では80年で捨てられていた)取得できるうちに取り寄せておいた方がいい。家系図づくりなどは、後年暇が出来たらやればいいのだから。

昔の戸籍から、どんなことが判明するのかは、予想できない。もしかしたら知りたくなかった事実も目にすることになるかもしれない。しかし、先祖たちが確かに生きていた証が戸籍でもある。いつどこで生まれ、結婚して、子どもが生まれ、(または離婚などして)、亡くなったのか。それだけの情報ではあるが、同じ血の通った人間として、泣いたり笑ったり怒ったりしながら、固有の人生を味わい尽くした親しき大先輩たちの尊い記録である。

そこから何を受け取るのかは、人それぞれであるが、興味深いドラマが潜んでいるかもしれない。

私は、戸籍と郷土資料などの情報から、Wordで50頁の伝記(のうようなもの)を書いた。最終ゴールは、6代前の先祖の墓参りである。今年中に実現できたらと願っている。

☆4月から

3月12日、久々の雨。

面接に出かけてきた。そして、すんなり来月からの仕事が決まった。一般的な事務の仕事である。

特別に事務が大好きなわけではないのだが、なぜか私は事務能力を授けられ、この世に送り出されて来たようなので、背伸びせず、まずは自分の出来ることをやろうと思う。

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