国会図書館が進化していた!
この数日、なかなか面白い展開になっていた。
以前も何回か投稿してきているが、祖先調べについてである。
役所から除籍謄本が郵送されてきて、曾祖父の名前が判明した。曾祖父から5代目までの世代の家系図もエクセルで作成した。
それでも飽き足らず、曾祖父の伝記を書くことにした(笑)。
せっかく図書館やネットから情報を仕入れたので、戸籍の情報だけでなく、人生に起きたであろう出来事を一冊にまとめてみたいと思ったのだ。書き始めたら夢中になってしまい、もっと肉付けをしたくなった。曾祖父の入植後の情報だけでなく、故郷の情報も出来るだけ入れておきたいと思った。現在判明しているのは、入植年月日と「△県△郡◯◯村」という地名のみである。さて、ここからどのように情報収集していけばよいのだろうか?
☆△県◯市立図書館とのやり取り
まずは、◯図書館へメールを出した。
2月28日
私「お忙しいところ恐れ入ります。図書館様では、メールでのレファレンスを受付していらっしゃいますでしょうか。
レファレンス内容
明治期(40年の合併前まで)の◯◯村の資料を探しております。
明治30年に曾祖父が、屯田兵として北海道へ入植しました。
曾祖父の歴史を調査中で、その頃の村について記載のある書籍名を教えていただけないでしょうか。
(新修◯市史(9〜13巻)は、貴館デジタルライブラリで見つけました。)
また、明治30年当時の村の番地が判明した場合、現在の市のどこの住所にあたるのかを調べるにはどのようにしたらよいでしょうか。
もし可能であれば、ご回答をよろしくお願い申し上げます。」
↓(3時間後)対応早っ!
図「図書館〇〇です。お送りいただきましたレファレンスを受け付けました。
お時間をいただきまして、回答させていただきます。不明な点などありましたら、お問い合わせさせていただくかもしれません。どうぞ宜しくお願い致します。」
↓(3日後)私は自宅でのんびり待つのみ。
3月2日
図「図書館の〇〇です。先日、お問い合わせいただきましたレファレンスの回答をお送りします。
村に関する資料は、下記の資料に掲載されておりました。
(省略)
こちらに記載した資料は、当館に所蔵されていますが、
国立国会図書館デジタルコレクションに所蔵されており、個人送信サービスに利用者登録されると閲覧可能(無料)です。キーワード検索「◯◯村」で該当ページが表示されます。
明治30年当時の◯◯村の番地が判明した場合、 現在の市のどこの住所にあたるのかを調べるには図書館では、新旧の地図を比較して調査します。その年代は絵図になり、山や川などを目安にして現在場所に当りをつけるという方法になるかと思います。今回の場合、6つの村が合併して◯◯村となったようなので元々いずれかに所在されていたと思われます。当館では古文書で6つの村の絵図を所蔵しておりますので、どちらの村のどの場所かがわかれば、もしかしたらこちらで再度調査できるかもしれません。
はっきりとしたお返事ができませんが、またご質問がありましたらご連絡ください。
宜しくお願い致します。」
わぁ~。本当に、図書館サービスは有難い。全国どこからの問い合わせにも、このように丁寧に調べて回答をくださる。この制度は本当に素晴らしい!
書名が判明したら、遠隔複写サービスで該当頁を郵送してもらうか、自宅近所の公立図書館で本を取り寄せてもらう(相互貸借)流れとなる。ちなみに、以前投稿した図書館のケースは、複写と相互貸借で情報を手に入れた。
ところが、今回は国立国会図書館デジタルコレクションという提案をいただき、新たな領域に足を踏み入れることとなった。
☆国立国会図書館デジタルコレクション
国会図書館で収集しているデジタル資料を閲覧できる。発行当時そのままの形でデジタル化した資料や、インターネット上の刊行物を収集公開。権利状況によってインターネット公開できない資料は個人送信や図書館送信、遠隔複写サービスで閲覧可。
試しに、サイトにアクセスしてみた。
『△県△郡誌』で検索してみると、たまたまこの資料は「ログインなしで閲覧可能」だった。
全ページがデジタル画像化されているので、まるで現物のページをめくるかのように、資料を眺めることが出来る。全文検索も可能なので、目当ての頁もすぐに見つけられる。
そうか、レファレンスの回答が早いのは、この機能も合わせて利用しているからなのだ。図書館の進化は目覚ましい。
早速必要なページを発見し、「印刷」機能を使って自宅パソコンにダウンロード。早い・・・早すぎる・・・・。過去の図書館利用なら、何週間もかかった作業が、ものの数分で終わってしまう。あまりに楽ちんすぎて拍子抜けしてしまった。
この資料から判明したこと。
・明治期古地図
・菩提寺と推察される寺院
・居住地と思われる地域の特性
(後でグーグルアースでも確認)
・北海道へ入植せざるを得なかった理由の裏付け
(前年に豪雨により川が氾濫。家や耕作地が流される大きな災害が起きていた。)
☆個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)
国立国会図書館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難なもの を、インターネットを通じてご自身の端末(パソコン、タブレット)等で利用できるサービス。
早速、本登録をした。ネット上で手続きできるので、過去のように永田町へ出向かなくて済んでしまう。ああ~、何度も言ってしまうが、本当に簡単になった。
審査に5日程度かかるが、一回手続きをしてしまえば、後は自宅でゆっくり、国会図書館のあらゆるデジタル資料を閲覧することが叶う夢のようなサービスだ。図書館が知らせてくれた本のうち4点は、本登録してからでないと閲覧できなかったので、楽しみに待つことになった。
☆ 国立国会図書館とは
「国立国会図書館は、国会に属する唯一の国立の図書館。
図書及びその他の図書館資料を蒐集し、国会議員の職務の遂行に資するとともに、
行政及び司法の各部門に対し、更に日本国民に対し、
この法律に規定する図書館奉仕を提供することを目的とする。
「納本制度」とは、図書等の出版物をその国の責任ある公的機関に納入することを発行者等に義務づける制度のこと。わが国では、国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)により、国内で発行されたすべての出版物を、国立国会図書館に納入することが義務づけられている。
納本された出版物は、現在と未来の読者のために、国民共有の文化的資産として永く保存され、日本国民の知的活動の記録として後世に継承される。」
国立国会図書館について|国立国会図書館―National Diet Library (ndl.go.jp) より
☆初めての国会図書館訪問
この図書館は永田町の国会議事堂の隣に建っている。
私は過去に一回だけ訪問したことがある。15年くらい前だったろうか。当時、図書館の仲間たちと4人で遊びに行ってみた。登録カードを作って、館内を探検。適当に端末で検索をして、明治作家の貴重な初版本を保存庫から出してもらったり複写サービスも利用してみた。一日過ごしてとても楽しかったのを覚えている。ここは宝の山だ!と感動した。
国内出版物のほとんどがここに保存されている。ちょうどその頃、知人が本を出版したばかりで、「私の本が国会図書館に永久に保存されるなんて!」とおおいに感激していたことを思い出す。
何千何万年の時を経て、知的財産を後世へ伝えるための手段は、岩に刻んだペトログリフ、粘土板、パピルス、革、和紙などがその役割を担ってきた。現在は紙からデジタルへと保存方法が移行しつつある。15年前に訪問した際は、デジタル資料の提供はこれから本格稼働という段階だったと思う。
☆進化の波にどう乗るか
図書館も、知らない間にずいぶん進化していたものだ。十年ひと昔と言うが、本当にそうだ。既に私などは波に乗り遅れていて、浦島太郎状態だ。
私は古いタイプの人間であり、パソコンよりは、紙の本でいろいろ調べる方が性に合っている。静かな部屋に一人籠って、ページをめくっているような時間が好きだ。紙の手触りや匂いは私にとってご馳走でもある。
そうなのだが、この令和の時代に80歳のおばあちゃんが、スマホを使いこなし、Instagramで日常を発信するように、デジタルだからと尻込みせず、人生を豊かに楽しむ方向で利用していけばよいのだと、今回あらためて思い知らされた。
ちなみに私の母は80歳だが、私よりもLINEを使いこなし、分からないワードはGoogle先生に聞いている様子。年齢はあまり関係が無い。好奇心とちょっとの勇気があれば、何歳からでもテクノロジーを利用して世界を広げることは出来る。
もちろん、アナログもデジタルも、活字もネット情報も、それぞれに長所短所がある。情報リテラシーを身に着けたり、時には情報断捨離を行う必要もある。刃物が料理で使われるだけでなく、人を殺める凶器にもなってしまうように、利用する側の精神的進化も問われるところは何事に対しても同様であろう。一方向に傾倒するのではなく、幅広くバランス感覚を持ってテクノロジーや情報に接していければと思う。
とは言え、遅ればせながら、図書館デジタルサービスデビューである。伝記を書くような人はあまりいないと思うが、ご自身の世界を広げるきっかけとして、こんなサービスも利用してみたらいかがでしょう?という私からの提案でした。
☆曾祖父の伝記
伝記を書こうと思い立ってすぐに、一通り書いてみた。その翌日、構成を大幅に変更し書き直した。夢中になっていたので二日で書きあげた。今のところ、Word原稿41ページ(20866単語)となっている。今週、図書館から届く複写と、本登録後国会図書館のデジタル資料を閲覧し、さらに10ページ程度追加になるだろう。
3月10日に、父の四十九日法要が実家で行われる。その日、父の仏前に供えたいと願っている。出来れば完成を間に合わせたい。
私は、父に対して、何もしてこなかった。自分勝手で、実家にもほとんど顔を出していなかった。親孝行で優しい娘を演じることが一切出来なかった。あまり自覚は無いのだが、ほんの少しだけ、罪悪感があるのかもしれない。
私が父に出来る最初で最後の親孝行になるかもしれないと、勝手ながら思っている。父をずっと大切にしてきた母や姉には出来ないこと。我儘な私にしか出来ないこと。私の今までの勉強や経験が活かせること。そんな何か・・・・。それは何?
ああ、そうか。そうなんだね。
今、このブログを書きながら、ようやく自分の本音に気が付いた。
私は、父へ心を込めた贈り物をしたかったのだ。不器用で利己的な私だったけど、確かに父を愛していた証として。育ててもらった感謝として。それが、曾祖父の伝記と家系図づくりだった。どこかの業者に依頼するのではなく、自分で調べて自力で作りたかった。きっと父も、曾祖父(父にとっては祖父)のことを知りたかったに違いないのだから。
もしかしたら、魂の存在になってしまえば、過去のことも何もかも分かってしまうかもしれず、今は父のほうが詳しい情報を手に入れているかもしれないけど。自己満足にすぎない行為かもしれないが、まあ、作るのは楽しいのでよしとしよう。
今のところ、コンテンツはこのようになっている。
プロローグ
1 人物像
2 誕生
3 苗字のルーツ
4 生まれ故郷
5 屯田兵に応募
6 故郷からの入植ルート
7 入植の地
8 相内での生活
9 屯田兵として
10 家族
11 日露戦争
12 信仰
13 辞典から紐解く
14 アルバム
15 明治年表
エピローグ
参考文献等
≪付録≫
・正信偈草譜
・命日法名一覧
・家系図
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