ドラゴンフルーツは甘くない

 2月8日

母、姉、甥と私の四人で、父が最後までお世話になった特別養護老人ホームと病院へお礼行脚の一日。

朝、M駅で、姉の車に拾ってもらい、一路実家を目指す。車内では、甥が爆睡中。何と、夜勤だったため、始発電車で帰宅したばかりらしい。甥は、関東の電力供給を守る仕事をしている。夜を徹して働く人々がいるから、私達は安心して暮らせている。生活の当たり前は、誰かの支えで成り立っていることを忘れてはならないと思う。甥の寝顔は、とても尊い。心の中で甥に手を合わせる。

実家に到着。早く出かけたい母をなだめつつ、父の仏前にご挨拶。もうすぐバレンタインディなので、昨日、両国国技館へ出かけて、お相撲さんにちなんだお菓子を買ってきた。相撲博物館の記念スタンプもつけて。父がお相撲が好きだったようなので。チョコレートよりは喜ぶかな?と思ったのだ。

せっかちな母に促され、サッサと車中に戻らされる。まずは特別養護老人ホームへ。預けてあった父の荷物を受け取る。小さな段ボールに、着替え数枚と、メガネ、補聴器、ひげ剃りなどが入っていて、しんみりする。箱の中に、父が工作した風鈴が入っていて、たどたどしい筆跡で名前が書いてある。姉が「ああ、ちゃんと自分で名前書いたんだ!」と、感動してうるうるしている。まるで小学1年生のような字なのだが、父が一生懸命、漢字を思い出しながら書いたんだろうなあと思うと、目頭が熱くなる。

父が大好きだった青年スタッフのYさんと、お会いすることが叶う。母は、スマホに保存してきた父の動画をYさんに見せている。葬儀社に作ってもらった思い出の写真集で美しい音楽とナレーションで構成され母のお気に入り動画だ。仕事があり忙しいはずなので、私は何度か母を諫めたのだが、Yさんは「全然、忙しくないんで。大丈夫。」と言ってくださり、母に付き合ってくれる。Yさんのような優しい介護士さんに出会えて父は本当に幸せだった。Yさんは父に対して友のように接してくれていた。拳を合わせたり握手したり、父とツーカーな感じが、面会の時も微笑ましく見えたものだ。Yさんに、最後に直接お礼を言うことが出来て良かった。誰よりも父本人がYさんに、ありがとうを伝えたかっただろうから。

次に、敷地内の父が一ヶ月入院していた病院へ。何度か面会で足を運んだから、まだまだ記憶が生々しい。入院費の精算をしてから、ナースステーションに菓子折りをお渡しする。看護師はたくさんいるし、患者が亡くなることも日常茶飯事なのだろう。思い出を語るような暇もなく、事務的対応でアッサリと挨拶は終了。まあ、病院とはこんなものなのだろう。

病院10階にあるレストランへ。とても見晴らしがよく、360度地平線が眺められる。料理があまりにも美味しいので、父はもう入院していないけど、また食事に来たいね!と盛り上がる。人生初のドラゴンフルーツを食べる。予想に反して、甘くなかった。へぇ~!と皆で驚き合う。でもまあ、ドラゴンなのでね。辰年でもあるしね。

写真∶マイナビ農業 より 

次に市役所へ。戸籍謄本を取る。相続の場合、故人の出生から死亡まで書類を揃えなければならない。現在の戸籍は法律により改正され電算化されている。改正前の縦書き戸籍を取り、しみじみ眺める。私や姉が結婚して☓されていたり、今は亡き実母の名前も記載されていたり、父が結婚前にどこの本籍から来たかなど、興味深い。本籍をさかのぼり、祖父母の除籍謄本を北海道に郵送依頼することになる。ついでに、家系図でも作ろうかな?というワクワクした気持ちになってくる。ゆっくり取り組もう。

除籍謄本の保存期間は150年だそうだ。廃棄される前に、祖父母や曾祖父母の戸籍謄本を取得しておいた方がいいかもしれない。きっといろんなことが分かってくると思う。郵送請求のやり方は役所ホームページに分かりやすく案内されているので、興味ある方は、ぜひ!

また、大きめ図書館では、『姓氏家系大辞典』角川書店が閲覧できる。自分の苗字の項目を調べてみても面白い。


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