幸せになる言葉 幸せにする言葉(読書メモ)
『幸せになる言葉 幸せにする言葉』
出口 光 著 水王舎 2016年3月出版
やまとことば とは?
もともとは和歌のことを指していた。それがしだいに日本独自の言葉を意味するようになった。
9世紀の古今和歌集の仮名序 紀貫之の言葉
やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける
力をも入れずして天地をうごかし
目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ
男女のなかをもやはらげ
猛き武士の心をも慰むるは、歌なり
日本人の心「やまと心」がわかると、美しく、柔らかく、力のある言葉が出てくる。同じ言葉を使うにしても、その言葉の背景にある心や魂を知っていると伝わるパワーが違ってくる。やまと心を知った上でやまとことばを発すると、その言葉は、さらに美しく、優しく、そして凛々しさを持つようになる。
【第一章 やまと心とは】
「やまと心」
①すべてのものに『命』が宿る
日本には「万物に神が宿る」という言葉があり、「森羅万象すべてに神様がいる」八百万の思想。
②すべてはつながって共生している
人と人だけでなくあらゆる物ともつながっている。
☆生かされている
私たちの腸内には、誰も頼んでいないのに、おびただしい腸内細菌がいて消化酵素を作ってくれていて、心臓や肝臓も動き続けてくれている。呼吸することで酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出している。その二酸化炭素と太陽の光で、植物は光合成を行い、酸素を作り出している。つまり、私たちは自分の力だけで生きているのではなく、あらゆるもののお陰で、生かされている。
すべてはつながり共生している。私たち日本人は古来より、大いなる存在を受け入れ、それが「やまとことば」という言葉の中に表現されている。
私たちは、万物の命の輝きで満たされ、つながった無限の世界を感じながら生きている。しかしそうでありながら、有限な「命」と「できることに限りがある肉体」を持って生きている。この「無限さ」と「有限さ」のはざまを感じて生きているからこそ、「やまと心」は育まれ、その繊細さや美しさ、優しさや強さが「やまとことば」に表現されている。
【第二章 「幸せ」を導く八つの「やまと心」】
≪優しい心を伝える≫
1,包み込む心
争わないで、包み込もうとする心=和魂
無敵とは、力が強いのではなく、敵がいないということ。
武道の本当の意味は「戦わない道」。いつでも平和を守るために戦う強い意志はあるけれど、戦わないのが最高の在り方だと示している言葉。
☆「争わない心」を表す「やまとことば」
・なごむ
・やわらげる
・ほどほどに
・ほどよい
・潮時
☆日本の国歌
「この平和な世の中がずっとずっと続きますように」という願いを込めて詠み継がれてきたもの。和の国。
〇言向け和す(ことむけやわす)
戦わずに、言葉の力で平和を実現するという意味
大きく包み込む心
〇承りました・わかりました
イエスかノーかよくわからない。
「あなたの言いたいことはよくわかりました」と言っている。あいまいな言葉に聞こえるが、仲良くしたい、うまくやっていきたい、争わずに相手の想いを包み込んでやっていきたいという強い意思を表す言葉。
2,想いやる心
「思う」=ただ自分が思うだけ
「想う」=相手の心まで考えている。「あなたは私、私はあなた」。相手と一体になることができる。
☆主語を使わない
相手のことまで考えてしまうから。
日本人は相手のことや、その場全体のことまで考えて、発言するのがあたりまえで、自分のことばかり主張するのは良くないと思っている。主語を使わなくても会話が成立するのは互いの対話がかなり洗練されていないと有り得ない。お互い理解し合えていなければ不可能なこと。
〇慈しむ
〇お相伴いたします
〇おもてなしする
互いのことを想い合って、その場を創り上げることで、相手に対して尊敬や愛情が生まれ、一体感が生まれる。
≪尊敬・感謝の心を伝える≫
3.すべては尊いと思う心
ひとつ一つの物や、一人ひとりの尊さを見ることができるようになれば、批判や評価を恐れて、自分を縛り付ける必要はなくなる。
〇畏まりました
〇召し上がる
〇お目にかかる
〇あやかる
〇いさめる
☆働くことは尊い
労働そのものが尊いと感じる心。労働の痛みを超えたところにある神性を見ることができる。
〇陰日向なく
〇ひたむき
☆一人ひとりに役割がある
一人ひとりに役割があり、山川草木すべてに役割があり、天命がある。日本では、リーダーもほかの人々も役割が違うだけで、共通に「崇高な想い」を持っていると考える。このような考えは、人には天職があるという考えに基づく。その天職をまっとうする中で、自分が生きている意味を考え、「幸せ」を感じることができる。だから働くことは、尊い行為なのだ。
4,感謝する心
生きていく中で関わるすべてのものに、その奥にある大いなるもの、すなわち「神性」を感じ取ることができる「やまと心」を持っている。
☆褒めるという文化
「言霊の幸ふ国」「国ほめ」神事
「国ほめ 物ほめ 命ほめ」
褒めることで神様を意識し、讃えることで神様とつながり、一体となることができる。日本が誇る偉大な伝統。
〇ありがたい
〇恩送り
〇いただきます
☆自然に寄り添う
人生で言えば、様々な出来事は自然現象といえる。その現象と戦うよりもそれに寄り添って生きていく感覚を持つことが大切。無理に立ち向かおうとせず、自分の身に起こった出来事の意味を感じ取りながら、自分が思う方向に、ゆったりとカジを取る。自然は本来制御するものではなく、寄り添うべきものであった。「自然と一体である」という日本の伝統的な考え方から、すべてに感謝する心が生まれてくる。
≪言葉を超えた心を伝える≫
5,形のない美を感じる心
モノやコト、それを表現する言葉を通して「形」を超えた「存在の美」を体験することができる。
〇ほのか
〇そこはかとなく
〇はんなり
〇隠身(かくりみ)で生きる
偉大な存在というのは隠れている。本当にすごい人は「ふつう」
☆私たちが自分の意識レベルを上げるためには?
自己宣伝せず、自分が優れた存在だと見せびらかさないこと。「やまと心」を意識しながら、あるがまま、「ふつう」にひたむきに生きていれば良い。そうすれば、意識レベルの高い人が、必ずあなたの崇高さをわかってくれる。
☆ものに生命を感じる
〇きく
〇味を見る
〇恥らう
〇胸に沁みいる
☆間のいい話し方
〇間がいい
聴く人にとっては、話し手が言ったことに対して、心の中で反応する「間」が欲しい。どんなに素晴らしい内容であっても、話し方ひとつで聞きにくい話になってしまう。間を置くことは聴く人への思いやりであり、愛の贈り物。
☆人間の本質を表す美しい言葉
〇くしびなる
「不思議な」「霊妙な」という意味
神から与えられた「一霊四魂」の働きがある。
☆含む美しさ
「統合の美」
善も悪も含めた「善」
醜さも美しさも含めた「美」
すべてと一体となる「共生の美」
私たちが生活している現代社会でも、国、民族、宗教、価値観など、あらゆる垣根を越えてともに生きる「やまとの美」が求められている。
6,有限と無限を感じる心
あなたが、壮大な想いを抱いても生涯でできることは限られる。だからこそ天職にもなる。自分にしかできないことがある。それを通して、大きな想いを持ちながら、自分が「できることを精一杯やることで「幸せ」「生き甲斐」を感じる。有限さの中に無限さが潜む。あなたがやり残した「想い」を引き継いでいく人たちが必ず出てくる。
〇もののあわれ
〇責めを果たす・全うする・尽くす
〇かろうじて
〇けなげ・身を粉にする・お守りします
☆わび・さびを感じる
「わび」=永遠の中に有限さを感じる心。詫びる。今の自分にできる限りのことをする。これが「わび」の美。
「さび」=時間的経過が入る。魂は世界と永遠につながっているけれど、肉体は有限である。ことを知り、永遠の中に有限さを感じ、全力で生きてきた人が、「さび」の美をつくりだすことができる。
☆自分の有限さを受け入れる
同じ言葉でも、発する人や受け取る人によって、伝わり方はまったく異なる。「無限の中に有限を感じる心」を持つことで、言葉を超えた「心」を相手に伝えることができる。
〇心を残す
「残心」=自分が相手に想いを発信し、相手からの想いが返ってくるのを待ち、それを受け取る。
☆言わないで言う
すべてを見せない。すべてを言わない。それは、相手の想像力を刺激する。そこには広大な宇宙が広がっている。その宇宙は、相手の力量にも大きくかかっている。自分の想いを言葉で伝えることには限界がある。自分の中に大きな「やまと心」を感じれば感じるほど、言葉で表現することの難しさを感じる。だから言葉を超えた工夫をする。
☆止め石を置く
相手の気持ちを考えると、言葉で表現したくないと思うことがある。止め石を置くことで相手の心に「あ、入ってはいけないんだな」という想いがわいてくる。そして言われたからではなく、自分の意志で止まることができる。これが「言わないで謂う」。
例)トイレ「汚さないでください」→「綺麗に使っていただきありがとうございます」
相手のやまと心に働きかける止め石の現代的表現。日本文化の力。
有限な世界で、無限のすばらしさを創ることができる。「聞かないで聴く」「見ないで観る」「言わないで謂う」の三つの力を鍛えよう。
≪自分の信念を伝える≫
7,自分の軸を感じる心
腰と肚を大切にする文化。肚=霊 腰=体 目に見えない存在を同時に意識。人間には軸がある。その軸を感じる心があるからこそ「腰肚」の表現が言葉になっている。
〇肚を据える・肚を決める
〇腑に落とす
〇腰を据える
8,良心を意識する心
魂はもともと綺麗な存在、崇高な存在であることを前提。罪穢れを綺麗にすれば、真実の心である「真心」が現れる。
☆自分で自分を省みる
①自分自身を見つめる
〇申し開きができません
〇魔が差す
〇心ならずも
〇さいなまれる
②自分を本来の姿に戻す
心の曇りを取り、本来の自分に戻るために心のお掃除をすること。浄化。
〇禊をすませる
〇身ぎれいにする
〇けじめをつける
〇水に流す
③自分の殻を破る
自分の枠を超えて成長する
〇目を開く
〇しがらみを取る
〇垣根を越える
【第三章 「やまと心」で「幸せ」に生きる】
1,自分の中に崇高なものを感じる生き方
〇おごそか
2,すべてとともにいるという生き方
誰かと会話するときは、自分の中で「相手とともにいよう」と声に出さずに自分自身に向かって言う。それから、相手の志は何か、崇高な想いは何かと心の中で問いかけてみる。
☆一体となって場をつくる
「一座建立」=ともにいて、ともに場をつくる
一体となるのは人だけではない。天(神)と「ともにいる」ことが前提。このような精神で場をつくると、その場には、偉大な精神が現れ、一つのことが成し遂げられる。
「場」~「庭」が転じて「ば」となった。
「庭」=太陽神とともにいる空間。天地人一体の空間。
☆奉納する
神仏に喜んでもらうために、お供え物をしたりその場で芸能をすること。天地人一体となること。
3,働くことに尊さを見つける生き方
〇この道に入る
自分の仕事を通して真理を求める決意
「道」(みち)=究極の真理を求めて自分の魂を磨いていくことを意味。天命を求め、天命に沿って生きること。働く中で究極を求めると、その中に「美の神」が宿る。働くことを尊いと日本人が想うのは、この「道」に生きる心がなせる技かも。トイレ掃除にも真心こめてやることで、美の神様に触れて幸せと尊さを感じてきた。
4,和の中に軸を持つという生き方
☆「和をもって尊しとなす」聖徳太子 十七条の憲法
第一条に「和」を持ってきているということは最も大切なことだということ。
みんなが言うことにただ流されるのではなく、「和」という「軸」が存在することを感じ、最も崇高な目的に立って生きなさいということ。
☆和の生み出す創造力
単に西洋文化にあこがれ、流されるのではなく「和の軸」を持って吸収し新しいものを生み出す文化と言語体系を持っている。
☆対極を和する
「陰」「陽」相対するものの世界に住む。
言霊学=火と水からすべては成り立つ。対極にある火と水からすべてが成り立っている。古神道的考え方。火水「カミ」 水火「イキ」と読む。対極が交わったときに新しい命が生まれる。
自分と合わない人は、自分が重きを置かないことに重きをおく人。自分の見えないことが見える人。相対する両者が和合できれば、そこに新しいものが生まれる。対極の人と交わうことで新しい命が誕生する。
5,あなたの花を顕すという生き方
世阿弥「三種の花」
「時分の花」
「工夫の花」
「眞の花」
人生で「眞の花」を咲かせるためには、一時の成功や失敗に拘泥せず、時の流行や権力に右顧左眄せず、愚直に、自分の仕事と人生を通して、本物を追求すること。
☆一隅を照らす
最澄「一隅を照らす これ即ち国宝なり」
一隅=今、自分がいる「場」そのもののこと
自分の置かれている場でできることをできうる限り精一杯やること。その時、輝く花のような存在になる。まさに花として周りを照らす。自分も周りも幸せにすることができる方法。
☆ものがたりをする
中今に生きる
永遠の時間の流れの中に、中心点として存在する「今」のこと。永遠を感じながら「今」に「過去」と「未来」を含む方法がある。それは、物語りをすること。あたかも今起きているかのように話してみる。人生は永遠の時の流れの中では瞬きのような短さ。しかし、私たちは大切な人とともに、言葉の力で、過去も未来も含んだ楽しい体験を創ることができる。人生はどれだけの体験を味わうかで豊かさが決まる。過去も未来も、今ここに同時に存在している。その悠久の過去から永劫の未来を含む真ん中の「今」を創るのはあなた自身の言葉。
6,志を立てるという生き方
「志」は「永遠の命」を持つ。過去も現在も未来も生き続ける。身体は有限だが、ずっと生き続けている志は、あなたの過去と未来につないでくれる存在。すべては移ろい消えていく「もののあはれ」の世界で、「志」を持っている人は肉体を超えた存在になる。あなたは、過去から何を得て、そして未来に何を伝えたいか?今この刹那に生きるのではなく、過去と未来を含んだ中今に生きてみよう。大切な人たちと志を語り合おう。
☆直心(じきしん)の交わりを結ぶ
魂と魂を感じあう交流
礼儀正しく清らかでお互いの心を想いやった真心。
互いの志を共有する関係は直心の交わりを深くする。
志を持ち、生涯をかけて仕事を行い、次の世代に引き継いでいく人たちの交わり。過去から連綿と受け継ぐものがあり、次世代に手渡すものがある。「利他の想い」があるから、つながり助け合える。人間とは、肉体を超えた存在。人間同士のつながりがあり、その人間が持っている「志」は、肉体を超えて伝搬される永遠の命がある。だから自分にできることを精一杯やることが大切。
あなたの中には本来「崇高な想い」がある。心の奥底に大和の世界が存在している。みんなで良い世の中をつくろう、みんなが一体となってすべてが生かされる世の中をつくろうという崇高な志があるはず。日本文化の中で育まれた心の中には、優しさと美しさと強さがすでに存在している。ただ私たちはそれを感じ、表現すればよい。
7,世界を愛するという生き方
☆日本文化と悟り
「玄関」~「玄」=悟りの境地。悟りを開くために避けて通れない場所。
毎朝悟りの門を出て夜には悟りの門に入る。家が神社仏閣になっている。
☆空とは何か
対象物と関係を結んでいない時が「空」
対象物そのものが存在しない時が「無」
あなたが見ている世界は、あなたが関心があるものだけが見えている。関係を結んだものだけが見えている。これが「縁起」。縁を起こしたものだけが見える。これがあなたにとっての現実の世界。すべてのものが「縁起」によってできていると考えると、すべてのものには実体はなく、「空」であると考えることができる。「空」は悟りへの道であり、悟りではない。
この世が空であることを体感したとき、あなたの関係を結んだものだけが、この世に現れていることに感動する。あなたが縁を結ぶたびに、世界が創造される。もしあなたが森羅万象すべてを愛したとするなら、世界はきっと光り輝いて見える。これが悟りではないか。あなたが関係を結ぶ対象に、強い弱いがあれば、森羅万象を見ることはできない。重要なものだけを見てしまうからだ。そこに本当の自由はない。世界が「空」であることを深く体感したとき、あなたは全てを受け入れる「器」になれる。受け入れることは愛することそのもの。私たちの世界は、さらなる縁を結ぶたびに、喜びや楽しさ、時には悲しさも現れてくる。
まずはこの世界を愛することからはじめてみては。やまと心をもつ日本を愛することから。
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