バガヴァッド・ギーター~次なる二歩め編

 早速だが、バガヴァッド・ギーターはじめての人向け

第二弾をお送りしたい。

というのは、この後、魂の兄との宇宙会議で、バガヴァッド・ギーターが伝えたい一番のテーマが、実は、一枚のイラストだけで表現できてしまうということが判明したからだ。

驚きの発見だった。

次の投稿をご覧になる方のために、共通理解を持っていた方が、読みやすいかな?と思ったため、私の学習メモをこちらに上げておく。

宇宙会議に興味が無い方も、インド哲学には興味があるという方は、ぜひご覧ください。


*参考書籍

『いちばんていねいでいちばん易しいインド哲学 超入門 バガヴァッド・ギーター』

大塚和彦 著

以下は、解説の大切と思われる部分のメモ。

網掛け部分は、バガヴァッド・ギーター翻訳(岩波文庫)。

 

☆はじめに

 四種の善行者が私を信愛する。すなわち、悩める人、知識を求める人、利益を求める人、知識ある人である。

第七章十六節

 

・自分とはいったい何者だろう?

・この人生で自分は何をすべきなのだろう?

・なぜ、自分だけ理不尽なことが起こるのだろう?

・なぜ、同じことを繰り返してしまうのだろう?

・どこか満たされないのは、なぜなのだろう?

 

語れている主題はこの世の真実

私たちの心からの純粋な問いかけにはっきりとした答えを与えてくれる知識。

私たちの「あたりまえ」に新たな視点を与えてくれる。

本当に自分が悩む理由があるのか?という深い部分からの気づきが生まれる。

ごく普通の人が、「自分を生き切る」「悩みで倒れない自分をつくる」ための実践の哲学

 

バガヴァッド・ギーターとは

 

インド哲学を代表する聖典

およそ2000年以上前にまとめられた

700あまりの短い詩文 18章で構成

偉大なる神の(バガヴァッド)詩(ギーター)と翻訳

この世界で知るべきすべての知識がまとめらている

日本ではヨガの実践者を中心に広く読まれている

インド公用語の一つサンスクリットでまとめられた教え

古くからさまざまな言語に翻訳

ガンジー、ヘッセ、ユングなど偉人に影響

 

インド哲学とは

 哲学=人生で直面した具体的な問題に対して、自分なりに「問い」をたてること。そしてその答えを得ようと考えること。

 特徴1、インドでは伝統的に宗教と哲学との境目がほとんどないことが多い。

特徴2、聖典を使って哲学が深められていく

 

私たちの理解を遥かに超えた世界・概念

・私たちがあたりまえと思っていることと全く異なる

・私たちの目には見えず、触れたり感じたりできない世界のこと

・私たちが生まれる前、また、亡くなった後の世界のこと

 

☆背景になるインド思想

・カルマ(行為)の法則

・サムサーラ(輪廻)

・アートマン(意識・真我)

・カーマ(欲)

 

☆見取り図

・時代は紀元前3000年頃のインド

・舞台はマハーバーラタ戦争

・戦争がはじまるその時に語られた世界と人間の真実

・戦士アルジュナと、教えを授ける神クリシュナ。この両者による対話

・アルジュナは戦士(クシャトリア)。クシャトリアの役割=この地上に法と正義(ダルマ)に基づいた国づくりをすること。

・「生きるか死ぬか」「殺すか殺されるか」「役割を果たすか果たさないか」そんな究極の葛藤を乗り越えるための究極の知識

・対話を通し、私たち人間の葛藤や悩みに新たな視点が生まれてくる。

 

☆誰でもアルジュナになりうる

・私たちそれぞれが、さまざまな役割を持つ。その役割の中でやるべきことがある。というのがインド哲学の教え。ダルマ(義務・法・調和)という概念

・やるべきことは人によって違う

・人間は感情を持つ生き物だから混乱し悩む

・感情は理性の力で抑えようとするほど大きくなる。感情と理性が心の中で対立(葛藤)

・心の中の綱引き(本音と建て前、理性と欲求)はなかなか勝負がつかないことがある

・私たちの心の中で常に戦争が起きている

・心にたくさんのストレスやプレッシャーを与え苦しみが始まる。

・すべての動物の行動原理=喜びを与えてくれるものを追いかけ、苦しみや痛みをもたらすものを避ける

 

☆なぜクリシュナは沈黙を続けたのか

・自分への執着で満たされると心の中にスペースがなくなる

・アハンカーラ(エゴ・自己意識)という心の働き

・マナス(感情)といわれる心の働き

・カーマ(欲)、モーハ(執着)が生まれる~「自分の(が)」をどんなことをしてでも守りたがる心の働き

・自分をますます苦しめていくループを描く

・自分への執着でいっぱいな心、そこに周囲からの言葉が届くスペースは残されていない

・素直に教えを聞ける状態になるまで待つ

・「もうどうにもならない」と戦場で沈黙をした時、彼の中の「自分の(が)」が解き放たれた

・教えを聞くタイミングが必要。心を開いてはじめて教えが入る。=シュラッダー(信頼・心を開く)

・机上の空論ではない、自分の問いかけとしての学びが始まる

 

☆中心となる教え

・ブラフマ・ヴイッディヤー(ブラフマンの知識)=世界の真実

~様々な角度から伝えてくれている

・人間の真理であるアートマンと宇宙の真理であるブラフマンとが究極的には一つであることを理解すること

・海がブラフマン、波がアートマンを象徴。その本質は一緒。

・深い理解が起きた時、苦しさや悲しみは姿を消す。自分自身の本来の在り方に深い理解を灯すこと。それこそが、この人生を通して私たちが求めていた「モークシャ(自由)」

 

アルジュナよ、これがブラフマン(梵)の境地である。それに達すれば迷うことはない。

第二章七十二節

 

・インド哲学における最大のテーマ

・私と世界 私と他人 とが別々ではないことに気づく

・私たちを自由に導く知識

・アートマンと対になった教え

・ブラフマン=大宇宙(宇宙原理) アートマン=小宇宙(個体原理)梵我一如

 

☆アートマン

・アートマン(意識の源、真我、思考の自己)

・私たちの身体にあって、そこに意識をはたらかせているもの

・私たちの中に存在し、いのちの根元といえるもの

・人間を支える意識

・電気製品でいう電気と同じようなもの。目には見えないけど、その存在を根底から支えているもの

・サット(存在)、チット(意識)、アーナンダ(至福)という言葉でも表現される

・私たちの本質はアートマン。決して感情や心ではない

・心の中を巡っているこの衝動=自分真実ではない

・自分自身をアートマンではなく、それ以外のものと結び付けてしまうと、人間の悲しみや苦しみが生まれる。アートマンではないものは、常に変化する。

・変化し続ける肉体の中にありながら、一切変化せず永遠なもの

・肉体や感情が変化していくさまを、その自分自身をただ静かに見ている存在

・激しい感情や痛みにさらされても、何ら傷つくこともなく何も変わらずそこにあるもの。

・本来は自由な存在なのに、あたかも窮屈な檻に入っているようなもの。哀しみや苦しさといった渦の中に私たちの本質であるアートマンを巻き込んでしまいがちに。

・限りがある自分という感覚から自分とを解き放つ。ありのままの自分自身を完全に受容する。

 

☆ブラフマン

・宇宙意識、ユニバーサルソウル、普遍の存在、宇宙全体に広がる意識

・宇宙という存在を支える、いのちの根元といえるもの

 

☆ヨーガ・シャーストラ(ヨーガの教え)

・ブラフマンの知識(理論知)を理解するための方法論のこと。実践知。

・生き方のすべてがヨーガ

・シュッディ(浄化)され、シャンティ(落ち着いた)な心が必要

 

☆カルマ(行い)のヨーガ

・この世界で果たすべき役割を果たしながら、自分を作り上げていく生き方

・カルマとは、良い行いには喜びや快をもたらす結果が。反対に悪い行いには、苦しみや不快をもたらす結果が。行いと行いの結果とは何らかの因果関係がある。

・たくさんの行いが複雑に絡み合って行いの結果が生まれる。

・因果関係のすべてを見通すことは人間にはできない。

・この世界には私たちの想像をはるかに超えた大きなはたらきが存在している=イーシュヴァラ。この世界の摂理、この世界を運行させる源のこと。

・すべての人に対し、公平で平等

・行いの結果から執着をはずすこと。やるべきことへとフォーカスすることで、自分の心を浄化し、深い落ち着きをもたらす。

・浄化された心にはヴィヴェーカ(物事を見極める力)と呼ばれる力がつく

すべきこととすべきでないこと。永遠なものと永遠でないもの。がクリアになってくる。

 

☆三種類のカルマ

・身体をつかって行うカルマ

・言葉をつかって行うカルマ

・心の想いをつかって行うカルマ

~一瞬一瞬にカルマを積み重ねている

 

☆プラサーダ(世界からの贈り物)

・イーシュヴァラからもたらされる行いの結果

・この世界の摂理から私にもたらされた贈り物ととらえ、極端に喜んだり悲しむようにしないことが大切

・変えられないものを変えようとすることから、私たちの苦しみはやってくる

・私たちの好き嫌いで勝手にコントロールできるものではない。

 

知識と実践の両輪で理解を深めていく

理論(ブラフマンの知識)を学びながら、実践(ヨーガの教え)を日常生活で繰り返して行うこと。

 

☆【10のテーマ】


テーマ1:人生には喜びと苦しみがやってくる

 

生まれたものに死は必定であり、死んだ者に生は必定であるから。それ故、不可避のことがらについて、あなたは嘆くべきではない。

第二章二十七節

 

・スカ(喜びや心地よさ)を追求したい

・ドゥッカ(苦しみや痛み)を遠ざけたい

人間が共通して求める二つの欲求。しあわせ。

これらに一喜一憂し、変えられない現実を変えようとしたがる。

すべては、起こるべくして起きている。と受け入れる。

どんなできごとが起きても、アートマンである自分は影響を受けないという深い納得。

 

テーマ2:人間は二つの対立軸の中で悩む

 

しかしクンティーの子よ、物質との接触は、寒暑、苦楽をもたらし、来たりては去り、無常である。それに耐えよ、アルジュナ。

第二章十四節

 

・ドンドヴァ=心に二つの対立軸がさまざまな形で生まれる

・苦しさを感じる時、そこには何らかの対立軸が存在

・自分の考えと他人の考え、感情と理性、理想と現実

・私たちの感覚器官には好き嫌いがあらかじめ定まっている。持って生まれた性質や積み重ねられてきた経験による。

・好き嫌いは自分が勝手につくりあげたものであることに、はっきりとした理解が及ぶ。対立を超える知識がブラフマンの知識。

 

テーマ3:私たちを苦しめ、迷わせる原因

 

欲望、怒り、貪欲。これは自己を破滅させる、三種の地獄の門である。それ故、この三つを捨てるべきである。

第十六章二十一節

 

何かを手に入れることでしあわせを感じるのは確か。ただそれがいつまでも長続きしないのはなぜか。

・原因はカーマ(欲望)

・欲望を正しく理解し自分のコントロール下に置かないとなりません

・満たしても満たされなくても不満の種

・欲望の取り扱い方によっては味方にも敵にもなるのが自分自身

・欲望は過剰に膨らんでいく性質

・本来は純粋な状態の心に欲望がベールのように覆ってしまっていると本当の自分を見ることができない。

・ヨーガの教えを通して少しづつよい習慣をつけていくこと

 

テーマ4:欲望はどこからやってくるのか

 

人が感官の対象を思う時、それらに対する執着が彼に生ずる。執着から欲望が生じ、欲望から怒りが生ずる。怒りから迷妄が生じ、迷妄から記憶の混乱が生ずる。記憶の混乱から知性の喪失が生じ、知性の喪失から人は破滅する。

第二章六十二、三節

 

欲望や怒りは破滅の入り口になりうる

激しい行動をも引き起こしてしまう欲望の実態を正しく知る事。

知覚。認識、判断(スカ、ドゥッカ、どちらでもない)

スカは、もっと欲しい。ドゥッカは、もっと離れたいという執着の原因で、この執着が欲望の原因

五感も対象物に貪欲に向かって行く性質

自分にとって本当に大切なものの前では欲望の喜びは永遠ではない

欲望は喜びだけでなく苦しみさえも運んでくる

 

テーマ5:世界は三つの性質からなりたっている

 

実に、一瞬の間でも行為をしないでいる人は誰もいない、というのは、すべての人は、プラクリティ(根本原理)から生じる要素(グナ)により、否応なく行為をさせられるから。

第三章五節

 

・デーヴァ(神)的な資質

・アスラ(阿修羅)的な資質

 

グナ(質)三つの組み合わせで世界のあらゆるものはできている

・サットヴァ(純質)

・ラジャス(激質)

・タマス(鈍質)

 

人によっても一瞬一瞬によっても変化する

 

テーマ6:自分という容れ物をしっかりと焼く

 

愛執、恐怖、怒りを離れ、私に専念し、私に帰依する多くの者は、知識という苦行(熱力)によって浄化され、私の状態に達する。

第四章十節

 

タパス(苦行)=決めたことをやりぬく

意を決して決めた事にきちんと意識を向けてみる。実際に動いてみる。そうすると一種の熱が発される。それにより私たち自身が焼かれ鍛えられる。

きちんとした生活&自分が決めたことをきちんと積み重ねて行くことが必要

ブラフマンの知識を理解するための準備になる

 

テーマ7:続けていれば、いつかは理解できる

 

勇士よ、確かに意は動揺し、抑制され難い。しかし、それは常修と離欲とによって把促される

第六章三十五節

 

心をきちんとコントロールすることはなかなかできない。実際にできないジレンマ。

心の働きをコントロールする秘訣はアッピャーサ(常習)

学びや実践を続けること

ヴァイラーギャー(離欲)はブラフマンの知識を学び続けたものが得られる冷静さや落ち着き

結果は後からついてくる

 

テーマ8:やるべきことをやりきる

 

それ故、執着することなく、常に、なすべき行為を遂行せよ。実に、執着なしに行為を行えば、人は最高の存在に達する。

第三章十九節

 

自問自答をした人がごく自然に求める生き方 ダルマ(義務、法、調和、正義)

世界と調和したことを行う

好き嫌いをわきに置いて、やるべきことをする

自分のやるべきことをわきに置いて他人のやるべきことに手を出すことへの戒め

自分自身がやるべきことは不完全であってもきちんと遂行すべき

私たちはこの世界で自分という役割しか演じることができない

自分とは何かが分かることでやるべきことをやるべきでないことがクリアに見えてくる

 

 

テーマ9:アートマンは生まれ変わりを繰り返す

 

人が古い衣服を捨て、新しい衣服を着るように、主体は古い身体を捨て、他の新しい身体に行く

第二章二十二節

 

サムサーラ(輪廻)

亡くなるとアートマンは身体を離れ新しい身体を得て生まれ変わる

この人生で味わった感官を次の人生に引き連れて行く

これまでに行ってきたカルマでまだ結果がもたらされていないもの

 

テーマ10:この人生で私たちが目指すもの

 

アルジュナよ、これがブラフマンの境地である。それに達すれば迷うことはない。臨終の時においても、この境地にあれば、ブラフマンにおける涅槃に達する

第二章七十二節

 

モークシャ(自由)

自由=安心、平穏、自由を束縛するものがないこと

不自由さを解消しようとして様々な行いをしてますます不自由さという落とし穴に入って行く=行為の束縛

アヴイッデイヤー(無知)によるもの

私たちの本質はアートマンであることを理解することで行為の束縛を断ち切る

安定していないもの(心、感情、肉体)に自分の軸足を置くと私たちは不安定になってしまう。欲求と行為の連鎖から行為の束縛は生まれる。そんな自分は不自由では?

 

人生には、痛みや苦しみを感じることが常に起きる

できごとに対して不平や文句を言ったり無理に変えようとすることこそ悲しさのはじまり。嘆くべき理由となる。

そもそも嘆くべき理由が無いところに嘆くべき理由を見てしまっている。

アートマンを理解することは、私は安全ではない、という恐れや、何か足りていないと言う欠乏感から自由になる。

この何ものにも束縛されない自由これこそが私たちがこの人生の中でもとめてやまなかったことだ。

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