病気は敵だろうか

呼吸道の清水友邦さんのFB投稿が、とてもタイムリーだったので、記録しておきたい。

以下、転載。

 「病気を敵・死を敗北として否定的に考える人がいます。

物質的な世界は、見た目のリアリティが強いので、どうしても病気を敵・死を敗北と、考えてしまいます。


また人々は、真実と思っている考えが、外からの情報に、影響されていることに気がつきません。


権威のある人物から「不調和な心は不調和な霊に憑依されて事故、病気、離婚、倒産、不登校、家庭不和が起きて不幸になってしまう」と言われると、それを鵜呑みにして、事故、病気、離婚する人は、すべて不調和な心になっているに違いないと、短絡的に信じてしまうのです。


マインドは、全体を生と死、病気と健康、幸福と不幸、善と悪に分けます。


調子が良い時のマインドは、勝ち負けにこだわり競争し、他と比較して見下し、優越感に浸ります。


しかし、物事がうまくいかないときや、病気や死が訪れると、たちまち自己否定に襲われます。


マインドは、あるがままが嫌いです。

自己イメージに合わないことが起きるのが嫌なのです。

予測がたたないと、たちまち不安に襲われます。


マインドは、自分の都合に良い主張にあった事実だけを集めて、自己中心的な物語を作ります。


マインドは、自分が賢いと思っていますが、実際は愚かで、物質的な世界と非物質的な世界のカテゴリーエラーをしています。


病気になる人は、精神的な欠陥があり、心が正しければ肉体も健康になると信じている人は、精神世界の人に多いようです。


ガンや病気で悶え苦しんで亡くなった聖者は、大勢います。


逆に霊性に興味がなく、根性が悪く、殺人、盗み、詐欺を働いても、病気をせずに強健な肉体をもった人もいます。


肉体の健康と心の健康は、カテゴリーが異なるので、同じ次元に捉えることはできないようです。


病気になる聖者は偽物で、あるいは宇宙の真理を悟ったといっても、所詮ただの人間にすぎないと、考える人がいるかもしれません。


クリシュナムルティは、膵臓癌になったと知ったとき「私はどんな悪い事をしたのだろう」と呟いたそうです。


感謝と喜びにあふれ、慈愛に満ちた態度で接し、すべてをあるがままに受け入れる清らかな心の人でも病に倒れます。


白鳥が病気になっても、白鳥の心に欠点があり、霊性が低いとは言われません。単純に心が正しければ病にならないは根拠のない思い込みのようです。


インテグラル・ヨーガの創始者シュリ・オーロビンドが階段で足を踏み外して骨折したことがあります。


「マハトマ(偉大な聖者)であるあなたがこれを未然に防ぐことをできなかったのでしょうか?」とたずねた人がいました。


オーロビンドは「生身の体は限界があり、物理の法則にしがうのです。」と答えたそうです。


病の原因が、その人の不完全さにあるのではないことが分かっていれば、自分が病になった時に、いたずらに罪悪感を抱く必要はないでしょう。


病気の原因を、すべて食物のせいにして食事や健康食品だけで病気を治そうとしたり、感謝して心が調和していれば病気にならないと考える人がいますが、病気を特定の原因のみに還元してしまうことはできないのです。


肉体が健康に見えても、心が病気の人もいますし、肉体が病気でも心が健康な人も居ます。肉体の病と精神の病はカテゴリーが違うのです。


純粋に物理的な次元に原因があるときの対応は心理的なことよりも環境の改善や呼吸や体の歪みの修正や食べ物や薬、手術のほうが効果があります。


農薬や添加物に気をつけた自然食にしても、食べ過ぎたり運動不足だったり、健康になるためにと、無理にいやいや食べたり、恐怖や不安で心が一杯で、神経質で、心がストレスに弱かったりすれば病が発生します。


いくら悟った賢者や聖者であっても、毒物や発がん物質を取り続ければ病になってしまいます。


仏教の開祖、お釈迦さまも、食中毒でお腹を壊し、苦しんで亡くなっています。


ヨーガ・チューダーマニ・ウパニシャッドによれば、身体にはグロスボディ(粗大)、サトルボディ(微細)、コーザルボディ(元因)の三つのレヴェルがあります。


サトルボディ(微細)に問題があるときは、情動など無意識に潜むトラウマの解放と関係し、薬や手術、食事療法では解決しません。


医師は、薬や手術などの物質的なグロスボディ(粗大)のレヴェルしか扱わず、治療師は自己の手法に固執して、異なる身体のレヴェルを混同してしまいがちです。


コーザルボディ(元因)の病は、本当の自分を忘れて、深く眠りこけていることです。

世界をあるがままに見ないで、頭の中の言葉が作り出す幻想を見ています。


自己と世界は、分離して存在しているという幻想をいだき、サンサーラ(輪廻)という迷いのなかに入り込んでいます。

そのため生老病死という、四つの苦に満ちた状態に、置かれています。


コーザルボディ(元因)の治癒とは、夢と眠りから目覚めることです。


智慧(プラジュニャー)が開かれると、すべてのものは縁によって生ずる実体がない空(シュニヤータ)である、という洞察が起きます。


自己の本質は、物質とマインドが作り出す喜怒哀楽の次元を超えています。

本当の自分は、傷つくこともなく、病むこともなく、生まれもしないし、死にもしません。病と健康、生と死という二元性を超越した存在なのです。


それが本当なのか、それは真実なのか、確認する必要があります。


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人はあるがままに観照している本当の自分(セルフ)と刺激を受けると機械的に反応してしまう自我(エゴ)の両方を持っています。


呼吸道の真の目的は自分自身を知るということです。


身体、感情、思考、時間、空間、あらゆる概念、知識、これらは全て私ではありません。

今まで自分だと思っていた私は私ではないということです。


それにはまず自分のマインド、思考を観照できるようにならなくてはなりません。


苦しみを取り去る方法は思考と一体化している偽りの自己に気がついて、今ここに在る純粋な意識と繋がることです。


しかし、物心が付いてからずっと思考と一体化しているので思考を見守るのが難しいのです。


それには体の感覚に注意を向け常に変化している呼吸と身体感覚から始めるのがやさしいのです。」


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