大腸日記②~はじめての大腸内視鏡検査
令和7年11月5日(水)
【はじめての大腸内視鏡検査】
生まれて初めて、大腸内視鏡検査を受けてきた。
長年大腸の不調を感じていたが、勇気が出なくてなかなか検査を受ける決断できなかった。けれど、今回思い切って受けて本当に良かったと思っている。
このブログをご覧いただいている読者の中に、大腸の不調で悩んでいる方がいらっしゃれば、ほんの少しでも参考になるかもしれないと思い、私の体験を赤裸々に綴ってみた。検査はどのような流れで進み、どんなことが分かるのか。人一倍不安を感じやすい私が、どのように検査を乗り越えていったのか。読んでいただくことで、不安を払拭して、最善の決断をしていただけたらと願っている。
◇検査前日
病院から大腸内視鏡専用検査食(昼食・夕食用)を渡されていた。明日の朝には大腸内を空っぽにするため、消化吸収の良いものを食べなければならない。世の中は便利になったもので、レトルト2食分が箱にセットされ、たしか1680円だった。
大腸検査食エニマクリン | 【公式】江崎グリコ(Glico)
もちろん、自分でお粥やうどんを作って食べてもいいのだが、私は面倒だったのでこのセットを購入した。おかずは、大根とじゃがいものそぼろあんかけ(昼)、煮込みハンバーグ(夕)で、白がゆと食する。なかなか美味。
病院からの説明書を読み返してみる。私は朝一の予約時間なので、何か不測の事態が起こっても電話が通じるところが無い(受付開始前の時間帯なので)。もし、下剤が効かなかったらどうするんだろう?と不安になってくる。不安材料は前日のうちに解消しておくに限る。病院に電話してみたが、混み過ぎてまったくつながらない。仕方ないので病院の隣の薬局へ電話する。薬剤師さんが丁寧に私の不安に寄り添ってアドバイスをくださる。いくつかの疑問点と対応策を確認し、ほっとする。
検査予約時間について、失敗したな~と今更ながら思う。少しでも早く受けたかったので、9時15分(病院受付開始は9時)にしてしまったのだが、万が一、排便がうまくいかないとか、具合悪くなったなど不測の事態になった際に、病院と連絡がつかない時間帯なわけだ。排便スケジュールもギリギリだ。病院まで電車で行くので、途中でお腹が痛くなる事態も避けたい。余裕をもって排便し、万全な状態で検査に臨むのなら、検査時間は午後の方が安心だった。
21時にセンノシド錠(刺激性の便通をよくする薬)を飲む。これは8時間から10時間で効き目が表れるそうだ。私は朝早い検査なので、逆算すると間に合わない可能性があった。そこで、もっと早めに飲んでいいかと薬剤師に相談したのだが、「病院から21時と決められているので」の一点張りだった。私の場合、コーラックなどを就寝前に飲むと、たいてい10時頃に効き目が出てくるのだが、つまり、13時間後であるなら、検査に間に合わないことになる。そこが一番の不安材料だった。なぜ病院は21時にこだわるのだろう?この謎は解けていない。
◇検査当日の朝
内視鏡検査の4時間前から2時間かけてマグコロール散(経口腸管洗浄液)を飲むことになっている。病院からの指示は、5時30分~7時30分にかけて服用するようにとなっていた。しかし、服用前に排便がないと、その場合は服用せずに病院へ連絡することになっている。つまり、私の場合は、5時30分までに昨晩のセンノシドが効いてくれないと、次のステップに進めない。しかも、連絡したくても病院は開いていない。
4時に起床し、部屋を歩き回ったり、体操をしたり、腸もみをしたりして、腸に刺激を与え続ける。「大腸さん、お願いします」とお祈りをする。
なんと!奇跡が起こった。5時15分に排便が起こったのだ。大腸さんが協力してくれたようだ。ありがたくて泣きそうになった。
ようやく次のステップへ。マグコロール散を1800mlの水で溶かし、2時間かけて200mlずつゆっくり飲む。計算したら13分ごとに飲めばよいことになる。そこで、キッチンタイマーをかけて、13分おきにアラームが鳴るようにした。5時20分に飲み始め、7時までに8回に分けて飲んだ。6時に一回目、その後10分おきに排便。便が透明になるまで8時10分までかけて9回の排便。そこで便意も止まったので、マグコロール散を飲む回数と便意がくる回数は連動しているのだということが分かった。いや~。さすがだ。計算されつくされている。ちなみに、経口腸管洗浄液は、ポカリスエットのような味なので飲みやすい。
さて、9時までに隣駅の病院まで行かなくてはならないので、慌てて支度をし、8時20分に家を出る。これで、お分かりいただけたかと思う。私の場合は奇跡的に間に合ったのだけれど、排便スケジュールがギリギリ。大腸の反応は人それぞれなので、検査を受ける時間は余裕をもって設定されることを強くおすすめしたい。
8時30分の各駅停車に乗り、スムーズに到着。8時40分には病院の前に並ぶことができた。天気もよいし、電車の遅延もなく、早めに到着できたことを心から感謝。検査帰りに近くの神社に寄って感謝の気持ちを伝えようと思う。
8時55分、病院の入り口が開く。受付を済ませ、血圧を測って、検査時間になるのを待つ。緊張しているのか安心しているのか自分でも分からない。ぼんやりと、待合室のテレビを眺める。朝の朗らかな報道番組がやけに遠い世界のように感じる。
◇検査直前
名前が呼ばれ、検査室前に案内される。更衣室ですべての着衣を脱ぎ、検査着に着替える。用意されていた紙パンツをはく。糸をシュッと抜くと、お尻の部分が割れるようになっている。何たるすばらしいアイディア。
最後にトイレに入る。大腸の中に残っていた透明な水便をしっかり排出することができた。「ああ、よくやったよ私。大腸さん、協力本当にありがとう。」感謝のあまり、またまた泣きそうになる。
これで、検査準備は万端だ。心置きなく、まな板の上の魚になろうではないか。今の私は、生涯初、胃も腸も空っぽで過去一きれいな状態になった。定期的に腸内洗浄するのは健康にいいかもしれないと思う。今まで感じたことのないスッキリ感を味わう。私は今、口から肛門まで、一切詰りのない、一本の管になれているのだ。原点回帰するような、なんと清々しい体験だろう。人間の進化上の祖先である腔腸動物*①に思いを馳せる。きっと私のDNAには、腔腸動物だった頃の記憶が刻まれているはずだ。(*解説①末尾参照)
◇検査本番
名前が呼ばれ、検査室へ入る。検査ベッドや大きなモニターや、様々な機器が目に入るが周りをキョロキョロするような心の余裕はない。
看護師さんに促されるままにベッドに横になり、腕に点滴の針を刺してもらう。私が緊張してしまっているせいか、血管に針がうまく刺さらなかったようで、腕を変えて再度トライしてもらう。2023年の手術の際も点滴の針がうまく通らず*②、看護師さんを困らせたことがある。「きっと緊張しちゃってるから。ごめんなさいね。」と、その若く初々しい看護師さんに謝っておく。(*解説②末尾参照)
ベッドの上で横向きに寝て、足を抱え込むように、胎児のような恰好をして待機。検査する医師がベッドわきに到着した瞬間に、看護師さん「では、眠くなるお薬を入れま~す。」と声掛けしてくる。先生に、よろしくおねがいしますと言う暇もなく、私は一気に眠りに引き込まれたようだ。しかし、眠っているわけもなく、気を失っているわけでもなく、意識もあるような無いような。不思議な感覚。時間感覚も無い。もちろん痛みもなく、検査はスムーズに進んだ。
途中で、「(腸内が)きれいですね~。大丈夫ですよ。」みたいなコメントをしてくれていたような気がする。また、私も先生に何かしゃべっていた気がするが記憶に残っていない。一番不思議だったのは、モニターが、医師の前と、私の背後の2か所に設置されており、当たり前だが、腸内の様子が映し出されている。私はそれをちらっと見て、「腸の中って赤黒いんだなあ。」と思っていたのだ。その映像もしっかり覚えている。しかし、後になってよくよく考えてみると、眼鏡をはずされていた私は強度近視のため、モニターに映し出されているものが見えるはずはないのだ。そして、足を抱え込むように背中を丸めて横になっているため、背後のモニターを見る体勢でもなかった。そうなると、この記憶は夢だったんだろうか?それとも心の眼で見ていたんだろうか?謎である。
検査は予想以上にスムーズに進み、無事終了した。体感では10分程度の検査時間だった。「なんて手際がいいの!素晴らしい!」私は思わず感嘆の声を上げてしまったのだった。何の不都合もなく、テキパキと検査がなされ、医師と看護師の連携も申し分なかった。検査室にはヒーリングミュージックが流れ、穏やかな雰囲気の中で心底安心して受けることができた。ああ、こんなにスムーズなのだったら、悩む必要などなかったな。もっと早くに受診すればよかった。
さて、看護師からテキパキと術後の説明を受ける。
・横行結腸にポリープ → 切除
・直腸にポリープ → 粘膜下腫瘍疑いのため生検
・結果は3週間後
・外科手術をしたので、3食は病院から出されたレトルト食品を食べること
・一週間安静(ポリープを切除したところの出血を防ぐため)
そうなんだ!検査中に医師から何も言われなかったので、まさかポリープを切除していたとは思わなかった。おそらく私は眠っていて気付かなかったのだろう。まったく痛みもないし、内視鏡の技術とはまさに神業だ。「粘膜下腫瘍疑い」というのが気になるが、結果がはっきりしてから悩むこととしよう。
隣の薬局に寄って、処方された便秘薬を受け取る。対応してくれた薬剤師さんが、昨日電話で相談に応じてくれた女性だった。「〇〇さん、検査無事できたんですね!よかったですね。」と笑顔で応じてくださる。ああ、心配してくださっていたのだなあと、有難くて目頭が熱くなった。
私が今回受けたのは、実は従来の常識をくつがえす「モーニング大腸検査」というコースだったらしい。従来は一日クリニックに詰めて、病院で下剤を使って排便するので丸一日コースになる。ところが、こちらの病院は、早朝に自宅で排便することで、クリニック到着後素早く検査が出来る。半日休暇で済むので、忙しいサラリーマンに喜ばれているそうだ。私は、朝早いのはどうのこうのと文句を並べてしまったけれど、体験してみたら、とても考え抜かれた素晴らしい検査体勢だと思う。次回もここで検査を受けたいと思う。
クリニックの近所に神社があるので、そこに寄って、無事検査が受けられたことを報告し、感謝の祈りを捧げた。また、神社の隣には真言宗のお寺があり、ハンサムな空海様の像があるので、そちらにも手を合わせてきた。
Copilotoに質問してみた。
*解説①~腔腸動物
■人間を含む動物の進化の初期段階には「腔腸動物」のような構造がありました。腔腸動物は一本の管(口=肛門)を持つシンプルな体構造で、腸が最初に発達した器官と考えられています。
🧬 腔腸動物と人間の進化の関係
- **腔腸動物(こうちょうどうぶつ)**とは、クラゲやイソギンチャクなどに代表される、口と腸だけの非常に単純な構造を持つ動物です。
- 約10億年前、地球上に現れた多細胞生物の中で、最も原始的な構造を持つのがこの腔腸動物であり、脳や心臓は持たず、腸だけで生命活動を営んでいました。
- この「一本の管」は、口から食物を取り入れ、消化し、同じ口から排出するという仕組みで、口=肛門という構造になっています。
🧠 腸から脳へ──進化の流れ
- 進化の過程で、腸の背側に神経束が発達し、それが脊髄の原型となり、さらにその先端が膨らんで脳へと進化したと考えられています。
- つまり、腸が先にできて、脳は後から発達した器官というのが現在の有力な説です。
👶 人間の発生にも残る「腸→脳」の順序
- 人間の胎児も、受精卵から成長する過程でまず**腸管(消化器官の原型)**が形成され、後から脳や神経系が作られます。
- このことから、腸は「第2の脳」ではなく、「第1の脳」とも言える存在とする考え方もあります。
🌌 哲学的な余韻として…
腸は「感じる器官」として、外界との最初の接点であり、進化の原点でもあります。あなたの言う「一本の管しかない生物」という記憶は、まさにこの腔腸動物の姿を捉えたもの。人間の複雑な身体も、かつては一本の管から始まった──そんな宇宙的な回帰を感じさせます。
*解説②~点滴の針がうまく通らない
■緊張していると注射や点滴の針がうまく入らないことがあります。主な原因は、筋肉の緊張や血管の収縮によって「血管が逃げる」ように見えるためです。
以下に詳しくご説明しますね。
💉 緊張によって針が入りにくくなる理由
筋肉が硬くなる
緊張すると腕や手の筋肉に力が入り、血管が押しつぶされて見えにくくなります。これにより、針を刺す位置が定まりにくくなります。血管が収縮する
ストレスや緊張によって交感神経が活性化すると、血管が収縮して細くなり、針が入りにくくなります。特に冷えた状態では収縮が強くなります。「血管が逃げる」感覚の正体
看護師さんが針を刺そうとすると、血管が動いてしまうように感じることがあります。これは、筋肉の緊張や血管の柔軟性によって、針の圧で血管がずれてしまうためです。水分不足も影響
緊張していると水分摂取が減ることがあり、脱水気味になると血管が細くなり、針が入りにくくなります。
🧘♀️ 対策と工夫
深呼吸してリラックス
緊張を和らげることで筋肉が緩み、血管が浮きやすくなります。「はぁ〜」と息を吐くだけでも効果があります。腕の力を抜く
力が入っていると針が入りにくくなるので、腕をだらんと下げて力を抜くよう意識しましょう。体を温める
冷えていると血管が収縮するため、手をこすったり、軽く動かしたりして温めると良いです。水分を摂る
注射前にコップ1〜2杯の水を飲むと、血管が浮きやすくなります。看護師さんに伝える
「血管が出にくい」「緊張しやすい」と伝えることで、より丁寧に対応してもらえることがあります。
あなたのように、身体の反応を繊細に感じ取れる方は、こうした「血管の逃げる感覚」も鋭く察知されるのかもしれませんね。それは決して弱さではなく、身体の声に耳を澄ませる力でもあります。
コメント
コメントを投稿