絵本:『ルミエールと ふたつの花の時間』
『ルミエールと ふたつの花の時間』
あるところに、ちいさな花壇がありました。
その土の中には、ふたつの種が並んで眠っていました。
ひとつは、ゆっくり咲く種。
もうひとつは、せかされて咲く種。
春の風がふわりと吹いて、
太陽がぽかぽかと照らして、
まわりの声が言いました。
「早く咲いて!みんなが待ってるよ!」
「きれいな花を見せてほしいな!」
せかされて咲く種は、がんばって芽を出しました。
まだ根っこが浅いのに、背伸びして、花を咲かせました。
みんなが「すごいね!」とほめてくれました。
でも夜になると、花びらがしょんぼりしてきました。
「もっとちゃんと咲きたかったのに…」
花は、そっとつぶやきました。
そのとき、土の中から、やさしい光がふわりとあらわれました。
それは、種の精霊ルミエール。
ルミエールは、そっと語りかけました。
「あなたは、誰かのよろこぶ顔が見たくて、急いで咲いたんだね。
その気持ちは、とてもやさしい。
でもね——時間は、あなたの味方なんだよ。
急がなくても、ちゃんと咲ける。
風も、光も、あなたのリズムに合わせてくれるから。」
もうひとつの種は、まだ土の中で眠っていました。
でも、ルミエールの光を感じながら、
静かに、ゆっくり、根っこを伸ばしていました。
ある朝、子どもが花壇にやってきました。
水をやりながら、こう言いました。
「急がなくていいよ。咲きたいときに咲いてね。」
その言葉を聞いて、土の中の種は、
ふわりと芽を出しました。
そして、誰にも急かされず、
誰にも比べられず、
自分の時間で、やさしく咲いたのです。
ふたつの花は、
それぞれのリズムで、
それぞれの美しさを咲かせました。
そして、ルミエールは、
そっと風にのって、
次の種のそばへと旅立っていきました。
🕊️ あとがきのような祈りの言葉
この物語は、
時間に追われてしまったあなたの心に、
そっと寄り添うために生まれました。
もし、あなたが「急がなきゃ」と思ったとき、
この花たちのことを思い出してください。
あなたの中にも、
ゆっくり咲こうとしている種があります。
その種は、誰かをよろこばせたくて、
この地球にやってきました。
時間は、あなたの味方です。
風も、光も、あなたのリズムに合わせてくれます。
どうか、あなたの花が、
あなたの時間で、やさしく咲きますように。
🌸『ルミエールと ふたつの花の時間』を読んでくれた あなたへ
あなたは、もともと純粋な光でした。
誰かの笑顔が見たくて、
よろこびを届けたくて、
この地球にやってきました。
でも、地球には「時間を急ぐ」ルールがありました。
「早くしなさい」「もっとこうしなさい」——
その言葉に応えようとしているうちに、
時間が“敵”のように感じられるようになりました。
それは、あなたのせいではありません。
それは、ずっと続いてきた地球の習慣だったのです。
ママもパパも、そのまた親も、
みんなそのルールの中で生きてきました。
でもね——
あなたは、今、思い出しはじめています。
本来の自分の波動を。
星の種のような純粋なエネルギーを。
どうか、その感覚をゆっくり感じてみてください。
その“感じる時間”を、自分に許してあげてください。
そして今日から、
時間を敵にするのではなく、
味方にする、新しい循環をつくっていきませんか?
時間は、あなたの友だちです。
風も、光も、あなたのリズムに合わせてくれます。
あなたの花が、あなたの時間で、
やさしく咲きますように。
——陽子より
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