うまれる

 先日、FBに「がん患者を支えるヒプノセラピストになります。」という内容の投稿をした。私の闘病の経緯も、簡単に載せた。その投稿をたまたまご覧になった知人が、「久し振りに飲みましょう」とお誘いしてくださった。

昨夜、二人の思い出の居酒屋で再会した。前回飲んだのはコロナ前だから、3年経ったぐらいだろうか。

顔を合わせたら、瞬時にブランクは消え失せて、思い出はイキイキと甦った。昔話に花が咲いたのは言うまでもない。

彼女をMさんとする。Mさんとは、不思議なご縁があった。出会ったのは2011年。震災があり、何か自分に出来ないかと地域のNPOやボランティアを支援しているセンターの講座に参加した。そこのスタッフだった。Mさんとは、やがて意気投合し、数年間共に地域のお祭りの運営に携わらせてもらった。地域活動に目を向けさせてくれた私の心の先生である。

Mさんの関係で、豪田トモ 監督 映画「うまれる」の上映会スタッフも体験した。後から考えると、私はこの映画で人生初めて胎内記憶(池川明医師)のことを学んだ。当時、前世もなにも知らない段階だったので、たいそう驚いた。今、胎内記憶や前世を扱うヒプノセラピーを仕事にしているのは、この時、種蒔きをされていたからかもしれない。

(余談だが、池川医師は、私が会員となっている日本医療催眠学会の顧問をされている。このような繋がりが出来るなど、当時は思いもよらなかった。)

当時は、前世や胎内記憶については、興味を深めることなく、月日は過ぎた。種は辛抱強く、発芽する機会を待ってくれていたらしい。

人生には、タイミングがある。例え、すぐ発芽しなくても、種はしっかり雪の下で冬を越すのである。もし、大切なことを伝えても変化がない方がいらっしゃるようなら、どうか、その方のベストタイミングを信じて、見守ってあげてほしい。

私は発芽まで冬の時代10年を必要とした。陽のエネルギーである春を謳歌するには、陰のエネルギーである冬をしっかり取り込む必要がある。どちらも大切なエネルギーだ。

もちろん、Mさんには、私をヒプノセラピストに仕立て上げようという意図は無い。たまたま、Mさんは、無意識に私に種を贈ってくれていただけである。

映画から数年後、私はうつ病を再発し、自宅療養に入った。同じ頃、Mさんは、ご家族の心の不調に悩み、ご家族に付添い、ヒプノセラピーを体験しに行っていた。

Mさんは、何気なく私にアドバイスをくれた。「もしかしたら、病気の原因は前世かもしれないよ。」と。Mさんは、私にそうアドバイスしたことすら覚えていなかったが。

私は、なぜか前世というワードが妙に気になり、直ぐにアカシックレコードリーディングを受けに行った。当時、ヒプノセラピーはマイナーで、情報は少なかった。前世を知りたいなら、能力のある誰かに見てもらうという発想しか湧かなかった。

アカシックレコードでは、いろんな面白いことが分かり、自分を見直す切っ掛けになった。アカシックリーダーの方からは、当時の仕事を辞めるようアドバイスされたが、私は辞めなかった。辛かったけれどエゴに支配された意識は現状を変えたくないと頑固だった。辞めた後の経済的不安の方が大きかった。

私は、アカシックレコードからのアドバイスを無視した。結果、その数年後、世の中がコロナについて騒ぎ始めた頃にがんを患い、退職した。がんに背中を押されたのだ。ここまでされないと、私は人生の方向転換が出来なかった。遅かれ早かれ、私はこの道に誘われたのだろう。もしあの時退職を決意していたら、私はがんにならなかったのだろうか。分からない。これも人生のタイミングなのだろう。

冬の時代たけなわであった。うつ病とがんと血栓の三重苦。薬の副作用で寝たきりになった。私は、自己判断で薬を全て止めた。動けないくらいなら、短命でもいいから動けるようになりたかった。少し家事ができるようになった日、私は感動で涙を流した。

薬に頼らない医療を探し、ホリスティック医療に興味を持ち始めた。

たまたま、本屋で催眠についての書籍を購入。萩原医師を知る。萩原医師はホリスティック医療をクリニックで提供しており、何と、催眠療法の学校も開設していた。

おそらく、雪の下で発芽のタイミングを待っていた、あの種が、ウズウズ反応しただろう。

どうやら、催眠状態になると、自分で前世が見られるらしい。いろんな問題の原因も分かるらしい。私の中の種は、喜びの振動を発した。私は、矢も楯もたまらず、基礎セミナーの申し込みをした。

2021年9月。雪解けを迎え、種はようやく発芽した。私は、一年かけて、少しずつ学びながら、春の季節へ歩みを進めていった。

2022年9月。私は正式に資格を取得しヒプノセラピストになった。同時に、二回目のがんが判明し····(以降は今までblogに書いてきたので省略する。)

時を昨夜に戻そう。

居酒屋で昔話をしながら、そう言えば、Mさんがいなければ、今、私はヒプノセラピーを職業にしていなかったかもと思った。

前世と言うだけで、拒絶反応を示す人はまだまだ多い。転生の話をすると「何の宗教?」と、警戒されるか、もう二度と会ってもらえないだろう。霊感商法絡みの事件の影響で、スビリチュアルを毛嫌いする割合は多い。

催眠療法は、科学的でもあり、医療現場でも使われているのだが、そんな事は、ちゃんとセミナーで学ばないと私も分からなかった。まだまだ誤解は多い。

Mさんから時間をかけて、ゆっくり種蒔きされなければ、私も「前世?スピリチュアル?危ない危ない。」と、鳥肌を立てる側で終わっただろう。

偏見を持ってしまうと、なかなか心のシャッターを開けないので、私の場合は本当にご縁に恵まれていたとしか言いようが無い。

あの、「うまれる」上映会では、共にスタッフとして携わったAさん(私と同じ病で2020年逝去)とも出会っている。Aさんは、目に見えない世界からも私を応援してくれている。(彼女との奇跡は、不思議のメダイつながりであり、過去blogに投稿したので省略)Aさんも、メダイのシンクロニシティを通して、私がヒプノの道を歩むのを導いてくれている。

昨夜、私はMさんに、不思議のメダイの手作りストラップをプレゼントした。そして、ヒプノセラピストへの道のりと、メダイの奇跡について、熱く語ってみたのだが、Mさんは、キョトンとしていた。

意図せず、自然体で種蒔きをしてしまうM さんだから、人の人生に大きな影響を与える力があるんだろうなあと感じた。Mさんは、私の人生の奇跡に関わってきたなんて、1ミリも思わない。ただ、不思議そうな表情で笑っていた。

そう言えば、Mさんはグリーンフィンガーの持ち主だ。Mさんは昔、小さな畑で野菜を育てていたが、作物が巨大になるので、周りから称えられていた。だから、人生畑の種蒔きも上手なのかもしれない。

居酒屋から出て、お別れの挨拶をした際に

「また、数年後に会いましょう。」と言われた。頻繁に会うわけではないけど、寂しさは無い。不思議なご縁のある方だから、きっと離れていても、互いに繋がっている。心のどこかでエールを送り合っている。

「また、会いましょう。数年後!」

私たちは、手を振り、あっさり別れた。

私は夜空を見上げながら、バス停まで元気よく歩いた。進む一歩一歩が、とても力強く感じられて、自分が愛おしくなった。

頑張ったね。

ここまで歩んできてくれて、ありがとう。

ちゃんと、芽を出せたね。


「The rose」

Some say love, it is a river That drowns the tender reed Some say love, it is a razor That leaves your soul to bleed

 ある人は言う 愛は川だと 

柔らかいアシを飲み込む 

ある人は言う 愛はかみそりだと 

あなたの魂は血を流し続ける 

Some say love, it is a hunger An endless aching need I say love, it is a flower And you its only seed 

ある人は言う 愛は飢えのようだと 

絶えず求め続ける 

私は思う

 愛は花だと 

そしてあなたは かけがえのない種 

It’s the heart afraid of breaking That never learns to dance It’s the dream afraid of waking That never takes the chance

 傷つくことを恐れる心は 

ダンスも覚えられない 

目覚めを恐れる夢は 

チャンスもつかめない

 It’s the one who won’t be taken Who cannot seem to give And the soul afraid of dyin’ That never learns to live 

失うことを拒む人は 

与えることができない 

死ぬことを恐れる魂は 

生き方を学べない 

When the night has been too lonely And the road has been too long And you think that love is only For the lucky and the strong 

あまりに寂しい夜 

あまりに遠い道のり 

あなたは思う 

愛は結局 

運がいい人と強い人のものだと 

Just remember in the winter Far beneath the bitter snows Lies the seed that with the sun’s love In the spring becomes the rose 

ちょっと思い出して 

冬には 厳しい雪のずっと下で 

じっと耐えている種が 

太陽の愛で 

春にバラとなって咲くことを

(Aさんが、帰星した数ヶ月後、私に贈ってくれた歌「The rose」の歌詞である。何度味わっても、味わい深くなり、伝わってくる意味深さは、計り知れない。Aさんの愛に感謝。)


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