いとおしい

 いとおしい

どんな感情だろうか。

あなたは、言葉で説明できるだろうか。

あらためて考えてみると、難しい。

ピュアで真っ直ぐな気持ちというよりは、何だか深く、複雑で繊細で淡い。光そのものと言うよりは、闇も経験したからこそ到達する感情ではないだろうか。

光と闇、善と悪、生と死。あらゆる二極を体験した先にある不思議な愛の形。

蓮の花が、泥沼から栄養を得て、美しく花ひらくような。

今の幸せが永遠ではないと、この世の命はいつか終わりが来ると、すべては流転すると知るからこその「いとおしい」ではないだろうか。

この感情を味わえるようになるまでに、どれだけ私たちは、笑い、涙し、喜び、悲しみ、怒り、恨み、どん底の泥を噛みしめ、泥沼の底から、一筋の光を見出だしただろうか。

「いとおしい」は、二極の体験から得る、宝石だ。想像を絶する圧力摩擦に耐えたからこそ、色彩と輝きを生み出した。

長堀優医師の本。後書きにあったエピソード。

一笑に付しても構わないが、琴線に触れたこと。

とある宇宙存在がメッセージを送ってきたとか。

「地球は、二極を体験できる、実験場だ。宇宙には、地球以外、そんな貴重な星は無い。二極体験を通し、魂を進化成長させる場である。あなたは、いとおしいという感情が分かるか?私たち宇宙存在は、いとおしいという感情が分からないのだ。」

いとおしい

いとおしい

その感情を思い起こして、静かに味わう。

前世何百の人生から得た、貴重な感情である。

大切な人、もの、国を何度となく失い、慟哭した微かな記憶。儚い存在を守りたいと願う記憶。

掛け替えが無いからこそ、胸がキュンとして、何だか涙が出てくるような。この幸せは今だけのものであると知っていながら、永遠であれと祈るような。優しく撫でるように、そっと抱き締めたくなる。そんな、二極が統合された暁に到達するであろう、静かな光である。

光も闇も、善も悪も、真我も自我も。

人間の愚かさを嘆きたくなる現代ではあるが、これで良かった。両方の極を体験し、私たちが苦しみながら、または楽しみながら得てきたことは、この地球だから実現した。

今という時代の転換期に、この掛け替えのない地球に命を宿せた幸運に感謝する。

いつ、どの瞬間にも、私はマザーアースに、最大限の尊敬と感謝と愛を送る。

たくさんの愛をありがとう。

さっき、涙が出たので、汚れた眼鏡を拭いたら、涙の水分で眼鏡の曇りが取れて、視界がクリアになった。

流した涙は、こうやって、曇りを明るく磨いてもくれるのだ。

魂が肉体を離れ、宇宙に帰ったら

「私は、地球で学び、いとおしいという感情を知りました。」と満足げに周りに語り、

「羨ましいな~。いい学びをしてきましたね。」と、宇宙の友に祝福されるかもしれない。

いとおしい

いとおしい

今、大切な人を思い、涙を流している私は、きっと幸せだ。

ポジティブもネガティブも、あって良かった。

ありがとう。

一瞬一瞬

この気持ちで、生きていきます。

例え、次の瞬間に終わりが訪れたとしても悔いが無いように。













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