旅する大日如来

 

長野の富士見高原へ行ってきた。

天気に恵まれ、案内してくださった友人ご夫妻と共に、紅葉に彩られた美しい山々を満喫。

心洗われる一日となった。

山に沈んでいく太陽を眺めて、思わず手を合わせた。生かされていること、見守られていること、すべての命に感謝の気持ちが溢れた。自然の息吹に満たされると、人は仏性が芽吹くのだろうか。

夜は、素敵なペンションに一泊。

そこの奥様が、ことごとく好みの合う方だった。カウンセラーをなさっているのだが、時々、前世が見えてしまうそう。とても柔らかで、穏やかなお人柄。会話していると、私はどんどん素直になり、純粋な自分が引き出されてくる。

Hさんとお呼びする。

夕食後、カウンセリングをお願いしてみた。

私には、特に悩みがあったわけではない。催眠療法である程度エゴは自覚できていたし、過去の苦しみ悲しみは受け入れ浄化も進んでいた。何を話すでもなく、質問に答えているうちに、克服すべき課題が浮き彫りになり、まだ、こんなエゴがあったのかと、ビックリした。Hさん、ただ者ではない。

私の悩み

「病気の時も、どんな時も、守り助けてくれる目に見えない存在を感じる。こんなに大切にされ生かされているのに、私はそれらの存在から大切なメッセージを受けとれているのだろうか。このままでよいのだろうか。

先日、群馬の伊香保へ行った。初めのうちは、山の緑に感動していたが、ロープウェイで山頂に登り、景色を俯瞰したら、自然があまりに破壊されている様子に胸が傷んだ。ゴルフ場の開発跡か、山肌が削られ、山が痛い痛いと泣いているように感じた。その感情を味わっていると、ただ傍観している自分を責める気持ちになってしまう。」

Hさんの誘導により、目を閉じて、その悲しい気持ちをイメージする。大きさ、色、位置。

胸にバスケットボールくらいの塊。藍色の宇宙が浮かび上がる。その塊が小さくなるまで、光を浴びせていく。藍色の宇宙はゆっくり小さくなり、涙がボトボトこぼれる。私はこんなに傷ついていたのだと、我ながら驚く。

ごめんなさい。ごめんなさい。山が痛がっているのに、私は何もしないで、傍観するだけで、ごめんなさい。涙が後から後から溢れ流れた。

やがて、藍色宇宙から、緑の植物が芽吹き、鹿を始め沢山の動物たちが、ワイワイ出現。動物からメッセージを受けとる。「ぼくたちは、いないけど、いるよ。」

そのメッセージの意味を考えていく。Hさんの助けを借りながら。

山は傷つけられ、泣いているとしても、もしかしたらそれが役割かもしれない。その姿を見せることで、誰かが何かを考えるかもしれない。悲しみ、苦しみに取り込まれ、共に泣くこともあるかもしれないが、何も行動せず傍観している自分を批判するエゴを、魂は求めていない。そんな自分を許し受け入れること。どんな時も、平和で穏やかな心でいること。これが私の魂が望むこと。それが出来るようになれば、きちんと目に見えない存在からメッセージを受けとるようになるだろう。とのこと。

どんな悲しい出来事を目にしても、穏やかな心であるために何をしますか？との問いかけに、しばらく悩み

「深呼吸して、祈ります。光と愛を送ります。」という答えを出した。

Hさんは、ニッコリ笑い、「いいですね。」と言ってくれた。瞬間、Hさんが、お寺の尼僧の姿に見えた。問答で、相手から仏性を引き出す菩薩様のようなイメージ。

そのイメージを伝えると、Hさんは、よくクライアントからそう言われるとか。納得。

Hさんの前世について、おうかがいしたところ、詳しくは書けないが、かなり仏教に関係し、多くの人々を救ってきた人生(仏生)が伝わってきた。私の脳裏にも、彼女の尼僧姿が現れていた。

「おそらく、前世のどこかでお会いしていますよね。」と、つい言ってしまった。それくらい、彼女から感じられる魂は、親しみがあった。エネルギーに一切の違和感が無く着慣れた心地よい衣のような存在に感じられた。彼女の思い、考え、何をお聞きしても、深く共感できた。どこかで親しい間柄であったと思う方が自然だった。

「私もシンパシーを感じます。」Hさんにそう言っていただき、嬉しかった。

そして、話の流れで、大日如来が出てくる。如来は、Hさんにとても関係していたのだ。

私は、先日の旅行で、水澤観音へ行き、大日如来のネックレスを授与されてきた。干支の守り本尊というのもあるが、とても惹かれたのだ。日常でも数回身に付け、大日如来とお話をしていた。とても好きな如来だった。

今日、富士見高原へ出かける際も、大日如来に旅にご一緒するかどうか尋ねたところ

「一緒に行きたい。」と言われたような気がしたので、胸にかけてきていた。

もしかしたら、大日如来は、Hさんの元に来たかったのではないだろうか。私は、お届けするお役目を授かったのではないだろうか。直感が知らせてきた。

大日如来ネックレスをHさんの手にのせて、何かメッセージを感じるかどうか聞いてみた。Hさんは、何かをしっかり感じたそうで、「(決めかねていたことで)背中を押された。」と晴れやかな顔になった。

間違いない。大日如来は、Hさんに、「いつも守護していますよ。安心してあなたの思う道を進みなさい。」と伝えるために、ネックレスの形を取り、私の手を介し、群馬から長野へ旅をしてきたのだった。このネックレスは、これからのHさんの魂磨きをサポートしていくのだ。大切な働きをされる方には、如来がついている。その証として。

私は、そのまま、ネックレスをHさんに受け取っていただいた。大日如来がつないでくださったご縁に、胸があたたかくなった。

Hさんは、仏の世界を現世に実現しようとしている。人々が、一切の苦しみ悲しみから解き放たれ、本来の魂の輝きのままに、生きていく。そのためのお手伝いを彼女なりの方法で。

仏の世界とは言え、出家するだけが道ではない。どんな職についても、仏の働きを現すことは出来る。

Hさんを知り、彼女と会話をする人は、抱えていた悩みから解き放たれ、浄化され、気付きを得ていく。そして、新しい一歩を踏み出していく。カウンセラーとしての役割を通し、Hさんは、地上の如来となっていくだろう。

ぼくたちは、いないけど、いるよ。

色即是空

空即是色

すべては、気付きのためにある。