人生を手っ取り早く変える方法

とある本に、

人生を変える手っ取り早い方法は、髪型と服の色を変えること。と紹介されていた。

いつもと違う選択をすると、マンネリ化した人生が違う方向へ進み始めるため、未来の選択肢が広がるらしい。

な·る·ほ·ど!これなら、実行できそう。

思い立ったら、行動だけは早いのが取り柄の私。すぐに、ネット検索をして、駅前の、オープンから一年の美容室に予約をいれた。決め手は、駅近というくらいか。まあ、一回行って、イマイチだったら、次は別な所へ行けばいい。試してみないことには、何も始まらない。

髪型については、自慢じゃないが、25年間、同じ美容室の同じ先生に、同じショートカットをしてもらってきた。伝統の美。既に苔むしている。通い慣れているから、安心だが、確かに冒険はしなくなる。いつものね~。という感じで、阿吽の呼吸でカットされる。この髪型が一番私らしいのだ。という強固な思い込みがあった。

違う美容室行けば、違う私の魅力が引き出せるかも!新しい私に会ってみよう。ちょっと変になっても、髪型なんだから、1ヶ月もすれば、伸びるだろう。冒険にしては、ハードルは低い。

そして、初対面の若々しく爽やかなスタッフさんに、無理難題を突き付けた。

「私、イメチェンしたいんですっ!」

しかし、元がショートカット。イメチェンするには、かなり限界が。そこで、若者スタッフさんは、オーガニックカラーの見本帳を持ってきた。美しい、色とりどりの髪の毛が貼り付けられていた。60種類くらいあったかな。染めるにしても、いつもの黒やダークブラウンじゃ、面白くない。顔色がよく見えるというピンクに、ブラウンを混ぜていただくことにした。カラーにピンクを使うのは初体験。

あ、なんだろう。このトキメキは。50歳過ぎたおばさんの私が、30歳若返ったくらいに、乙女心でドキドキしていた。

カットもし、髪も染め、ブローで髪の根元をたたせ、ヘアワックスでクシャっとしていただいて、鏡を見た。

「あ!おしゃれお姉さんになった!」

思わず歓声を上げてしまった私。

スタッフさんも嬉しそう。イメチェンできましたね。と、一緒に喜んでくれた。

トキメキ。

そう、髪型と色を変えることは、若い頃、頻繁に感じていた、あのトキメキを甦らせてくれたのだった。

早速、ドラッグストアで、ヘアワックスを買って、ルンルンした足取りで帰宅した。新しい私誕生である。まだ見たことのない私の可能性を引き出してくれた美容室のスタッフさん。人目がなければハグしたいくらいだった。

こんなに心持ちが明るく変化するのなら、次は、着たことのない色の服に挑戦だ!



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