千の風になって~催眠的解釈

 



Do not stand at my grave and weep

I am not there, I do not sleep

I am a thousand winds that blow

I am the diamond glint on snow
I am the sunlight on ripened grain
I am the gentle, gentle autumn rain

Do not stand at my grave and weep

I am not there, I do not sleep
When you awake in the morning hush
I am the swift uplifting rush
Of quiet birds in circling flight
I am the soft, soft starlight, starlight at night

Do not stand at my grave and weep

I am not there, I do not sleep


私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません


千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹き渡っています


秋には光になって 畑にふりそそぐ
冬はダイヤのように きらめく雪になる
朝は鳥になって あなたを目覚めさせる
夜は星になって あなたを見守る


私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 死んでなんかいません


千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹き渡っています


千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹き渡っています


あの大きな空を
吹き渡っています


英語詩:作者不詳

日本語詩:新井満



『千の風になって』

この詩はどれだけ日本人に愛されてきたことだろう。このブログを読むあなたも、何らかの思い出のひとつやふたつ、浮かび上がってきたのではないだろうか。

今、私は新井満さんの詩集『千の風になって』講談社2003年発行 を手にしている。先月の誕生日に魂の兄から贈られた数冊の本のうちの一冊である。


朝、四時半。本日は久々に一日家でゆっくりできるため、今日読みたい本を5冊ほどリビングに積み上げた。さあ、読むぞ~!と気合。そして、この懐かしい詩集をめくったのであった・・・・


一通り読んで、5時~6時半まで台所に立っていた。大根と油揚げの煮物と、ゴボウサラダを作っていた。急に、携帯のアラームが鋭く鳴り響いた。また地震だろうか?慌てて画面を確認した。政府発表の防災情報、北からのミサイル発射とある。


ふうむ。と冷静に受け止めた。いつものように逸れて行くのか、それとも今回は着弾するのか。いずれにしても私にはどうしようもない。もし、あと10分で東京にミサイルが落ちますよとアナウンスされたとして、私はその残された10分をどのような心境で過ごすのだろうか?と想像をしてみた。


あくまで想像でしかないが、どうせ逃げられるものでもないし、死の瞬間が訪れるのを静かに待つのではないかと思う。これが私の魂が選択した「死」=宇宙に帰還するための手段 なのだから、私にとってはベストな幕引きなのだろうと思う。


二元の世界から旅立つには、ふさわしい最期かもしれない。宇宙戦争時代から戦場を地球に変えて、物質次元で善悪に分かれ格闘し続けて来た魂。その何億年の学びの記憶が、この一瞬にたたみこまれている。北のミサイルは、私の内面(人類の集合無意識)の何を象徴するのだろう。「ああ、分かった。これが分離の極みの最終地点なのだ。」と、宇宙にひとつのこの意識は、納得してゲームを終えるのだろう。


仏陀が信者から振舞われた料理を食して、それが原因で亡くなった時の心境にも重ねてみる。仏陀は「おかげでカルマの解消ができた。」と自分の死の原因を作った信者に感謝しながら亡くなったらしい。仏陀にとっては、最高の幕引き手段だった。すっかり浄化され、宇宙循環に戻っていかれた。


新約聖書にも「人は、自分の蒔いたものを刈り取ることになるのです。」とある。現象化することで刈り取る(消す、浄化する、ゼロに戻す)。カルマとは、何か恐ろし気な、因果応報の考え方であると捉える人もいるだろう。私はもっとスッキリした感覚で捉えている。


どの魂も、この地球で何百回と転生をしている。おそらく、半数の人生は誰かの命を奪い、半数は誰かに助けられたり助けたりして、生きただろう。地球では、それを悪人と善人に分けて評価する。転生に時系列はない。本日6時30分、北のミサイルの発射ボダンを押しているのは、自分の過去世かもしれない。この現実は、一つの意識が創造した壮大なドラマである。


私個人の最後の瞬間を想像してみる。〇〇という名の、一人の女性の一生として、はたしてどうだったんだろう。誰かを憎む気持ちも無いし、やり残したこともない。この55年、とても面白かった。充分遊んだな~と満足だ。催眠療法を学んだおかげで、現実はすべて、今まさにベストなことが起きていると知っている。陰陽の法則にしたがい、エネルギーを中庸にし、ゼロポイントへ戻っていく。肉体の死は、エネルギー循環の一瞬の過程を通り過ぎるだけである。まさに、風のように。たえまなく変動し留まることのなく、消えることのない永遠のエネルギー。



20年ほど前のことだろうか。日本中で『千の風になって』の歌が流れていた。当時まだピンピンしていた父が、ある日つぶやいた。ちょっと頬を興奮気味に赤く染めつつ、うっとりとした表情をして。父にしては珍しいことだったので、今でもよく覚えている。


「お父さんも、死んだら、この歌みたいに風になりたいんだ。」と。


顕在意識優位で、ガチガチにマインドに縛られ、堅実に生きて来た父。物質こそが豊かさの象徴であり、家族への愛情表現も不器用だった。そんな父が、『千の風になって』を何度か聴いて、時には涙を流していたらしい。


私は、この歌詞は魂の真実に触れているのではないかと思っている。だからこそ、世界中で愛され歌いつがれてきたのだろう。この歌を味わう時、音楽は潜在意識優位となるので、誰もが真なる自分につながりやすくなる。そして、脳ではなく、魂の記憶の方にアクセスし、「なぜか分からないけど、とても懐かしい気持ちになって涙があふれてくる」のである。宇宙につながるハート部分が高次元波動と共鳴し、震えるのである。魂が感動して震えているのである。「ああ、そうだった。」と、何かを思い出したような感覚になるのだ。


父があまりに気に入った様子だったので、私は父に秋川雅史さんのアルバムCDを早速プレゼントしたのを覚えている。私も不器用で頑固な性格であり、ほとんど親孝行らしきことはしたことが無かった。ただ、この時、不器用な父と娘ながら、珍しく心の奥底でつながれたような、「ああ、同じ人間なんだ。ようやく共感し合えたなあ。」という喜びがあったことを記憶している。父のことが大嫌いで、でも、本当は好き。本当はもっと、父に喜んでもらいたかった。あのCDを父は何回聴いてくれたんだろう。私は、父の90年近い一生の、ほんの一隅だけど、照らすことが出来たんだろうか。もしそうなら、『千の風になって』を日本に広めてくれた、新井氏と秋川氏に、感謝しかない。不器用な娘の、ほんの気まぐれな親孝行を実現させてくれたのだから。


20年前は、催眠療法を学ぶことになるとは、まったく想像すらしていなかった。この二年近く、私は催眠で数々の前世を体験し、何度も、臨終を迎えた。どの死も、一瞬の通過点であり、楽譜で言えば、全休符だろうか。その小節をお休みしても、またメロディーは続いていくのだ。この宇宙がある限り、永遠に。私たちは、一曲の途中で全休符による音の途絶えがあったとして、いちいち取り乱すだろうか?間があることで、より味わいが深くなり、曲としても洗練される。つまり、「死」は楽譜の終止線ではない。まだまだ、続くのである。


『千の風になって』の歌詞に出てくる「風」は、人によって解釈が可能だろう。


「風を見た人は一人もいない。つかまえた人も一人もいない。にもかかわらず風はいつだってどこにだっている。自由自在に偏在している。生まれたと思えば、すぐに死ぬ。死んだと思えば、すぐに息を吹き返す。そうだ。風とは、息なのだ。(中略)千の風になるとは、大地や地球や宇宙と一体化することなのである。人間が死ぬと、まず風になる。次に、様々なものに生まれ変わる」(48ページより)


いのちの大きな循環の中へ・・・・


新井氏の文章を読んで、催眠療法で得られる気づきとの共通点を感じずにはいられない。私はそのいのちのつながりを、上述の楽譜に例えてみたが、新井氏は詠み人知らずの英詩から紐解いた。


ああ・・・『千の風になって』は、聴衆が皆、催眠状態となり、魂の覚醒に一歩近づくことができた。宇宙源(真実の自分)からの贈り物だったのかもしれないな。


父は、熱心な信仰も無いし、催眠療法も知らないし、一般的日本人の死生観しか持ち合わせていないだろう。天国とか地獄とか、あの世があって、三途の川を舟で渡って・・。みたいな感じ?


肉体の死は怖いだろう。もっと生きていたいだろう。美味しいものを食べ、愛する妻と穏やかな日常を送り、趣味の囲碁に興じ、夜眠れば必ず朝目が覚めると信じたいだろう。この先、どこかのタイミングで、父は寿命を迎える。


その切り替わる瞬間に、父のエネルギーが美しい風となって、大空に解き放たれていく様を想像する。そう考えるだけで、ほっと救われた気持ちになる、不器用で頑固な娘の、飾らない今の心境である。

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