遺伝子2%

 筑波大学名誉教授であり、遺伝子研究で有名な村上和雄先生の著作を読んだ。一週間前に、たまたま村上先生のドキュメンタリー映画を観たばかりで、感動冷めやらぬままに、一気に図書館から数冊借りてきたのだった。

私たちは、たった2%しか、遺伝子を目覚めさせていないそうだ。残り98%は、遺伝子情報として持っているのだが、眠らせている状態だ。村上先生は、遺伝子は、オンにしたり、オフにできると言う。

例えば、人間誰もが、ガンを発病する遺伝子を持っている。その遺伝子がオンになれば発病するし、オフにしていれば、発病しない。

遺伝子オン、オフには、親からの遺伝もあるが、環境や心のあり方にも密接に関係してくる。

村上先生は、笑いが糖尿病の症状を抑えたという研究を吉本興業と協力して行い、論文を発表している。映画の中でも、マウスを笑わせる実験をしていて、(研究者が、マウスをこちょこちょくすぐる)興味深かった。

私はガン闘病経験があるので、いちいち納得しながら読んだ。私の家に、ガン経験者は一人もいない。そのため家族はしきりに首を傾げていた。なぜ、私だけが近い血縁の中でガンを発病させたのか。

健康体の人でも、日々、ガン細胞は生まれているらしい。それを体に元々備わっている免疫細胞が、やっつけてくれているから、ガン細胞は生じては消え、生じては消えを繰り返していると、別な本で読んだことがある。私の場合、ストレスや生活習慣により、免疫細胞が正常に活躍できなくなり、ガン細胞が育ってしまったのだと思われる。

村上先生の本を読んで、遺伝子をオンにする。オフにする。という説は、分かりやすいと思った。

確かに、同じような食事療法をしていても、病気になる人もならない人もいる。いくら生活に気を付けていても、短命な人はいる。

細胞は死滅する。エントロピーの法則により、新陳代謝をしなければ、生物は生きられない。種の保存や進化の観点からも、命あるものは、必ず死ぬことになっている。だから、短命なのが悪いとか、長寿だから良いわけではないのだが、現代医療では、ついつい、死は敗北と捉えられてしまう。

遺伝子の仕組みから死を捉え直してみると、グレートサムシング(宇宙や神の働きのような何か)と名付けたくなる、目には見えない偉大な力に感嘆するしかない。生きていることは、想像を遥かに超えた奇跡だ。

良い悪いではないのだが、とりあえず、自我に縛られた人間をやる上で、幸せに生きていきたいなあと、願ってしまう。幸せとは、健康で、笑って、楽しんで日々過ごしていくこと。人によって違うかもしれないが。

村上先生は、利他の遺伝子をオンにする生き方が、これからの時代に必要であろうと書いている。人間は、自分のことばかり優先していると、いつまでも欠乏感に苛まれ、不安をベースに選択する人生となってしまう。もし、誰かの役に立つ生き方をすると、幸福度が増すそうだ。確かに、有名になりたい!金持ちになりたい!という思いで会社を運営するのと、世界の幸せのために運営するのでは、働いている従業員たちの満足感も違ってくるだろう。誰かにありがとうと言われると、ハートがあたたかくなり、何だか幸せを感じるものだ。これが利他遺伝子のなせるわざなんだろうか。

ポジティブが良いわけではないのだが、人が心地よく感じる遺伝子をポジティブ遺伝子と仮に呼んでみる。その遺伝子をオンにするために、何をしたらよいのか?

村上先生は、笑いの他に、感動することも大切だと言う。

もし、守りに入り、代わり映えのしない毎日を送るなら、安全安心だろうが、感動する機会は減る。先生は、新しいこと、やったことの無いことに、どんどんチャレンジしてみなさいと、力強く提言されている。

科学者として、世界初の発見を実現できた要因は、多くの失敗と八方塞がりの試練が必要だと自らの経験を語る。それでも諦めずに続けていると、ある日ふと、閃きが訪れる。失敗から、予想外のアイディアを得て、世紀の発明に繋がった例は山ほどある。

きっとここに、ポジティブ遺伝子をオンにする秘訣があるのだろう。

新しい環境で、新しい価値観に触れることで、今まで見えていなかったものを見るようになる。強固な価値観がガラガラくずれるような体験もあるだろう。新たに見えるようになった世界は、感動を生む。

先日、ガソリンスタンドに行ったら、アルバイト募集の貼り紙が目に入った。今までやったことの無い経験をするなら、例えばこんな選択もありだなと思った。ツナギを着て、オーライ!オーライ!と車を誘導する自分を想像し、思わずニヤニヤしてしまった。

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