前世療法~ローマ帝国編

 セミナー最終日実技報告。

☆事前面談

この2日間、催眠浸けで、潜在意識が開きやすくなっていたせいだろうか。いつも元気いっぱいの私が、今日の朝はトーンダウン。意識の奥底から、浄化されたくて浮き上がってきている、かなり大物のネガティブな感情を感じていた。身体も心も重いし、何かの切っ掛けで泣いてしまいそうなほどセンシティブになっていた。そこで、「潜在意識の奥に固まっている怒りや悲しみなどの感情を手放したい。」と意図。さて、何が浮き上がってくるだろうか。まったく予想がつかない。

☆最初の場面

川を船で下る。晴れていた空がだんだん怪しくなってくる。夜の暗闇の中、石で組まれた船着き場に到着。

革を張り付け紐で結んだような粗末な靴。膝丈のワンピース型の服。薄汚れゴワゴワの布。黒髪。いかつい顔。45~50歳。名はロマン(名は自信ない。仮称としたい)。ローマ帝国。1400年代。(ローマ帝国の時代を知らなかったが、今、ウィキペディアで調べたらは年代合ってた。潜在意識、恐るべし。)

石壁の粗末な小さな家。屋根は草ボウボウ。内部は藁のベッド、木製のテーブル、床に木っ端が散乱。椅子は二つ。食事はロマン一人で食べる。妻は、別室(台所?) 関係は冷えきっていて、ロマンは、妻と顔を合わせたくない。家も心地悪い。幸せをまったく感じたことが無く、不満でいっぱい。いつも何かに怒っている。

☆次の場面

船の甲板らしいが、視野が半分。左が白く被われている。何で半分しか見えないんだろうと不思議がっていたら、ある瞬間ピンときた。究極の恐怖が沸き上がってくる。

「分かった!捕らえられて、目隠しされているんだ!私、これから殺されるんです!海に投げ込まれるんです!怖い!」叫ぶ私。

現実に、全身に鳥肌。涙がドッと流れる。呼吸が荒くなる。吐き気がする。わああっと泣き叫ぶ。

「私が側にいますよ。安心してください。」セラピストの声がする。

大きな恐怖を感じ、身体も反応していたが、この体験を乗り越えなければ無意識下のトラウマを浄化できない。セラピストの声に勇気付けられ、最後までこの前世の感情を追体験する決意を固める。

ここがセラピーの不思議。自分は、ロマンになりきってもいるが、現在の私の意識も同時に認知でき、客観的に眺めることもできる。この感覚はなかなか表現し辛い。これは、クライアントは自身で問題を解決する力があるという根拠になるかもしれない。セラピストは、その力を信じ、ひたすら寄り添う。お手伝いしかできない。解決するのはあくまでクライアントだ。

泣きながら、深呼吸し、殺される直前の感情を味わう。セラピストの伴走を頼りに、必死にストーリーを追っていく。

やがて、視野が完全に真っ白になる。甲板に横たえられたらしい。袋に入れられたのか?

☆次の場面

海の底にいる。殺されて海に投げ込まれたのか、海の中で溺死したのか分からない。死の記憶が無い。気絶でもしている間にこと切れたのだろうか。海の中はよく見える。ロマンは、長い間、海の底に魂として、自縛されていたのだろうか。始めのうちは、怒りの感情しかなかったが、時間が経過すると、後悔の気持ちになっていく。とても静かな気持ちになり、懺悔を始める。

「私は、天国へ行けません。許されないと思います。」

セラピストに臨終を促された時に、ロマンは言う。とても絶望している。このまま海底で朽ち果てていくのだなあと思っている。

「私は、人を殺しました。沢山殺しました。申し訳ありません。申し訳ありません。」さめざめと泣き続ける。

「私は許されるのでしょうか。神様は私を許すでしょうか。」

ロマンは、信心深かったわけではない。教会もろくに行ってないし、祈りも知らない。しかし、魂の存在になり絶望の果てに救いを求めたのは、一番遠い存在に感じていた神様だった。(時代背景があるのかな?)

「大丈夫です。許されますよ。神様に会いに行きませんか?一緒に神様のところへ行きましょう。」セラピストのあたたかい声が聞こえる。

(*注意 本来は、セラピストは「許される」「神様に会える」と断言してはならない。セラピストの思い込みで、ストーリーを誘導してはならないからだ。今回は受講生がセラピストだったため、この声掛けとなったもの。)

ずっと海の底に沈んでいたのだが、やっと、上の方に微かな光を発見する。光の方角へ上ってみようかな?という気持ちになってくる。

☆臨終

セラピストの誘導に従い、魂が肉体から離れる。光を目指し、海面まで上昇。壊れた船の残骸や沢山の死体が見える。激しい戦闘があった様子。

☆中間世

ロマンの希望で、キリスト様に来ていただく。洗礼を受けていたかどうかは分からないが、心の奥底で神を求めていたことにようやく気づいた様子。

キリストの光がやってくる。ロマンはひざまづく。キリストは、ロマンの頭に手を載せ、

「悔い改めれば、与えられる。」と言う。

「与えられる」と言われたのが興味深かった。これは後のロマンの人生振り返りの言葉にリンクしてくるのだが、「穏やかな幸福感、両親からの愛」を体験する次の人生を約束されたのではないかと思う。

☆前世と私とキリストの会話

ロマン「ろくでもない人生だった。戦争はもう嫌だ。嫌なことばかりだった。会いたい人もいない。私は親を知らない。今度産まれたら、両親と暮らしてみたい。」

私「もう、後悔の感情を手放して、浄化され、光に帰ってください。」

やがて、ロマンの魂は安らかな表情となり、キリストに連れられて、上昇。浄化されていった。

セラピストに頼み、お礼を言いたいからと、再度キリストに来ていただく。

キリストの光がやってくる。愛の波動を感じる。ロマンを救ってくれたことのお礼を言う。

「あの者は既に許されている。」とキリストから言葉をいただく。

☆感想

「あなたは、許されている。」

私は、ずっと、無意識にこの言葉を求めていた。なぜか分からないが、ずっとずっと、許されたかった。何が起きて誰に許されなければならないのか、顕在意識では全く分からず、原因不明の怒りや恐怖の感情を抱え生きてきた。

私は、キリスト教の教えをよく知らないが、「罪と許し」について、その時代の価値観が前世のテーマに深く関係していたのではないかと思う。

ロマンは、戦争が当たり前の時代に生き、当たり前に人を殺していた。ところが、自分が殺されてしまうという恐怖を味わって初めて、人を殺してはならない。ということを学び、罪の意識が芽生えたのだ。そして、罪を悔い、許しを求めた先が、神様だった。

今日、600年の時を経て、ネガティブな感情を感じ切り、浄化させることができた。

これは、二時間の前世療法セラピーで、催眠状態の私が自分で見て、体感し、最後に腑に落とした体験である。

前世療法とは、何てダイナミックで感動的なセラピーなのだろう!

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